研究課題/領域番号 |
21K05093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小坂田 耕太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 客員研究員 (00152455)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大環状分子 / 金錯体 / 還元的脱離 / 複核錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
ジホスフィノメタン配位子が結合した二個の金(I)中心と橋架け芳香族配位子とから大環状多核金錯体を新たに合成する。隣接する金と芳香族配位子との二つのAu-C結合がねじれの位置にあるため、三角形六核錯体または五角形十核錯体が安定に生成する。多核錯体分子中のAu(I)2単位のAu(II)2またはAu(III)Au(I)への酸化反応を行い、大環状錯体分子の電子状態変化及び三または五個の芳香族配位子のカップリング環化による大環状有機分子の還元的脱離反応を検討する。後者の反応では、3, 5などの奇数個の芳香環配位子が環状に連結した大環状分子を合成する。
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研究成果の概要 |
有機金錯体の反応性を利用し、パラシクロフェニレン及びその誘導体の合成に成功した。トリ-、テトラ-、ペンタ-フェニレンボロン酸エステルを、ジホスフィン配位子を有する二核金(I)錯体と反応させることによって、環状六核金(I)錯体を合成し、これを化学酸化することによって、[9]、[12]、[15]シクロパラフェニレンを高収率で得ることができた。生成物のカチオンラジカルを分光学的な手法で同定した。合成反応が金(I)錯体の分子内有機配位子交換反応を重要な過程として含んでいることを、実験及び理論計算によって明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
π共役高分子は光機能電子機能を有するソフト材料として活発に研究されており、これからの社会を支えると期待されている。本研究によって環状のπ共役分子が選択的に合成できることで、有機材料科学に新しい物質を供給できる。一方で、これを合成する反応機構の解明で、遷移金属錯体の有機配位子交換反応を重要な素過程としていることを明らかにした。これは、有機金属化学で長らく知られながら、研究の対象として重視されなかったものであり、今後において、において、触媒開発や機構解明に重要な知見を与えるものである。
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