研究課題/領域番号 |
21K05098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
植村 一広 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60386638)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ポリオキソメタレート / 多核錯体 / 一次元鎖 / 金属結合 / 混合原子価 / 導電物性 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリオキソメタレート(POM)を白金四核錯体で繋げ、電荷移動度の高い一次元状の混合原子価集積体を合成する。POMは個々の相互作用が弱く、固体中では孤立した分子系として振る舞うため、POM骨格自身の固体電子物性は未開拓である。分子性導体で金属伝導を得るには、オンサイトクーロン反発を減少させる必要があり、混合原子価状態をもつPOMおよび白金四核錯体は最適な物質と考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究では、還元能の高いポリオキソメタレート(POM)をアクセプター性分子に、ドナー性分子の一元状白金錯体を混合し、新しい分子性導体を合成することを目的としている。POMに、Keggin型Mo12核の[Mo12]と、Dawson型Mo18核クラスターの[Mo18]を、一元状白金錯体に、白金四核錯体の[Pt4]と白金-パラジウム三核錯体[Pt2Pd]を選び、前年度までに、一次元状集積体の-[Mo12]-[Pt4]- (1)、-[Mo12]-[Pt2Pd]- (2)、-[Mo18]-[Pt4]- (3)の合成、単結晶X線構造解析と物性評価を終えている。今年度は、伝導度測定とバンド計算を実施した。 1~3のペレットを作成し、二端子法による直流電気伝導度測定したところ、常温での抵抗率が、1は3.8×10^7 Ωcm、2は4.3×10^6 Ωcm、3は9.1×10^5 Ωcmであり、比較的よく電気が流れることがわかった。また、低温になるにつれ、抵抗率が上昇する半導体的挙動を示した。アレニウスプロットの結果、活性化エネルギーが、1は0.6 eV、2は0.5 eV、3は1.8 eVと見積もった。結晶構造をもとに,第一原理計算Wien2kで状態密度を算出したところ、いずれも、伝導帯をMoが、価電子帯をPt(Pd)が占め、結晶構造をもとにした電荷分布と電子スピン共鳴の結果と一致した。1~3では、抵抗率に温度依存性がみられ、電荷伝導に関係するMacrusパラメータを評価したところ、電子輸送と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画段階で目的としていた、3種類の一次元集積体を単離し、伝導度測定およびバンド計算を完了でき、分子性導体となることを明らかにしたため。
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今後の研究の推進方策 |
混合原子価一次元集積体1~3の伝導度を単結晶四端子法で測定し、正確な導電率を明らかにし、異方的な導電性を評価する。さらに、光伝導性測定および励起ESR測定も検討する。1~3以外に、混合原子価二次元集積体の合成にも成功しているので、同様に固体物性を明らかにしていく。また、内包イオンと核数を変えたPOM、もしくは欠損型POMを用いて、新しい混合原子価集積体を探索する。
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