研究課題/領域番号 |
21K05106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
高瀬 舞 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20631972)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 局在表面プラズモン共鳴 / 旋光度 / キラル分子 / 貴金属コロイド / 光ー分子相互作用 / 局在表面プラズモン / 旋光度計測 / 微量分析 / 金属コロイド / 光強電場 / 表面増強分光 / 高感度分子認識 / キラリティ |
研究開始時の研究の概要 |
光学活性な分子の選択的合成,分離は創薬だけでなく幅広く研究が行われているが,1%未満含まれる不純物が生体内での利用に悪影響を及ぼすことはしばしば見られる.このような微量の物質を選択的に検出除去する方法として,表面プラズモン共鳴効果をもちいる分子捕捉と表面増強分光法による分子の選択と高感度分析を同時に達成することを目指す.このために,表面増強旋光度計測法を確立し,分子と光の相互作用を積極的に利用することで,in-situで分子の光学活性の観点から動的挙動を解明できると考える.
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研究実績の概要 |
光学活性物質は, 特に創薬学に代表される生体内で機能する物質に多く存在し, その光学異性体はそれぞれ異なる機能を有することも多い. 特に,生体内で機能する場合に重要となるのが異性体の一方が善として, もう一方が悪として機能する場合は, 光学分割を徹底的に行うかもしくは合成の段階で完全に片方だけを合成する必要がある. しかし, いずれの場合においても1%以下の含有物質が影響を与える場合もあることから, 分ける, 分けて作ったとしてもかなり高感度で微量の悪な光学異性体を見つけ出す必要がある. そこで本研究では, 金属に吸着した分子がその影響を強くうける表面プラズモン共鳴に起因する強電場をもちいることにより, より高感度で勘弁な表面増強旋光度計測法を開発することを目的とした. 金および銀微粒子をもちいることにより非常に強い表面プラズモン電場をつくり, この強電場と分子が相互作用する, すなわち光と分子の相互作用を長時間化することによって,旋光度を増強して高感度に検出することができると考えた. まず, 理論限界と言われている7桁以上の電場増強を獲得するため,金および銀の微粒子の合成を行い,これら貴金属溶液に光学活性な分子を溶解させて旋光度計測を行ったところ物質固有のモル旋光度と比較して大きな旋光度が得られることが明らかとなった. さらに, 表面にキラルな分子が吸着した状態のコロイド溶液のCDスペクトルを取得すると, 表面プラズモンの吸収波長領域のピークが円偏光性を有することが確認された. したがって, 表面プラズモン共鳴吸収は貴金属表面及び近傍の分子の旋光度を増大させるだけでなく, 吸着したキラル分子に従ってSPR吸収自身に旋光性が付与されることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度が計画よりも早く研究が遂行されたため, 今年度は余裕をもってスタートしたが, 様々な測定の条件検討やセットアップに時間がかかり, また, 社会的情勢の変化から外部測定が急にできなくなるなどの不足の事態も生じた. これらのことから, 当初は計画よりも進んで遂行されていたが現状では計画通りに落ち着いている.
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今後の研究の推進方策 |
2年間の研究から, 分子の取り込みなしに単純なキラル分子の吸着による旋光度の変化を確認できたことから, これらの貴金属コロイドをガラス基板上などに塗布することによって, 規則的な構造を作ることにより大きなSPRの増大の影響を見ることができると考えている. スピンコートやディップコートなどこれまでの知見から様々な方法で貴金属構造の高次構造の観点から旋光度増強を試みる. また,分子の吸着についてin-situ測定を行うことにより実際にどのような環境において, 旋光度の変化が起こるのか.を検討する さらに, 分子の情報取得としてラマン測定をもちいた分子の動的挙動の観測による表面吸着状態ならびに分子の配向等の情報からも, これらの旋光度に対する影響を明らかにする. 表面の状態をより微細に制御することで, これまでに得られてきた特異的な旋光度の増大についてメカニズムの解明にむけて研究を遂行する.
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