研究課題/領域番号 |
21K05108
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
田仲 真紀子 (庄司 真紀子 / 田仲真紀子) 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90397703)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | DNA / 液晶 / 集合体 / 凝縮場 / 電子移動 / 相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
DNAが集合し相分離を起こす条件には明らかとなっていない点が多く、DNAの凝縮した場がDNAの機能と性質に与える影響もまだ未解明である。そこで本研究では、DNA凝縮場の形成条件を検討し、相分離凝縮場でのDNAの電子移動と核酸塩基損傷特性の詳細について、光を用いて化学的アプローチにより解析する。DNAの機能に及ぼす凝縮場の影響を探索することで、細胞内での生体分子の状態と生体機能の維持についての理解に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、メゾスコピックスケールの可逆的な微小凝縮場の形成がDNAに与える機能の解明を目指している。集合体のビルディングブロックとなる短鎖DNAについて、集合体形成を促進するために2塩基の粘着末端をもつ配列を用いたところ、ポリエチレングリコールを高濃度で加えることによって人工的に作製した分子混雑環境下において、マイクロメートルスケールのユニークな六角形プレート型液晶が形成していることが明らかとなった。DNAの配列と濃度、PEG濃度を変化させ、集合体形成への影響を検討することで六角形プレート型液晶の形成には最適なDNA濃度およびPEG濃度を調べた。また粘着末端の配列も六角形集合体の形成に影響を及ぼした。この新規に観測された六角形型DNA集合体について偏光顕微鏡による観測と、円二色性スペクトル測定を行った結果、二本鎖DNAの長軸が六角形の面に対して垂直に並んでいる構造であることが示唆された。六角形型DNA集合体を含む溶液について、吸光度の温度変化測定を行ったところ、二本鎖DNAの一本鎖への解離による吸光度変化以外に、より低い30-45 ℃の温度領域での吸光度変化が観測された。そこで集合体を加温しながら顕微鏡観測を行ったところ、30 ℃で集合体の溶解が始まり、45 ℃では集合体が消失することを確認した。よって二本鎖DNAが、周辺環境に依存して集合状態を変化させることが明らかとなった。このような集合状態変化がDNAの機能にも影響を及ぼしていることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユニークな六角形プレート型DNAがポリエチレングリコール高濃度条件で形成されることが明らかとなった。当初予期しなかった集合体の形成ではあるが、短鎖DNAが配列によってこのような集合体を容易に形成することは興味深く、六角形集合体への形態変化によるDNAの機能の変化について引き続き探索を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、適切な機能性分子を修飾したDNAを固相合成によって準備し、さまざまな形態をとるDNA集合体(凝縮場)内の電子移動特性についての調査を進める。またDNA液晶のみではなくDNA液滴を研究対象とし、その機能分析を液晶と比較して進める。さらにこのようなDNA凝縮場が生体分子の微小な分離場としてどのように機能しうるかについての検討を行う。
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