研究課題/領域番号 |
21K05111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小山 宗孝 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90221861)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 貴金属ナノ粒子 / 貴金属合金ナノ粒子 / 修飾電極 / ボルタンメトリー / 電気化学分析 / 貴金属合金 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ニッケル線やニッケルマイクロ粒子を貴金属イオン水溶液中に浸漬するだけ、という非常に簡便な方法を用いて、イオン化傾向を利用して貴金属イオンを還元し、ニッケル表面に貴金属ナノ粒子を修飾する。特にその際、2種類の貴金属イオンの混合水溶液中に浸漬するなどの方法で、貴金属合金ナノ粒子修飾ニッケル電極を作製することにより、高度な電気化学分析を可能にするとともに、新しい電極触媒を開発する。
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研究実績の概要 |
昨年度は、2種類の貴金属イオンが共存する水溶液中にニッケル線を浸漬する方法や、貴金属を段階的にニッケル線に修飾する方法に関して検討したが、本年度は、それらをさらに進展させて以下の検討を行った。 まず、2種類の貴金属イオン水溶液に関する検討で、すでに興味深い電気化学応答が得られた金・白金合金系から進展させて、塩化白金酸イオンと硝酸銀を含む水溶液中にニッケル線を浸漬して表面修飾を試みた。塩化白金酸イオンと硝酸銀が共存した水溶液中では、それらの濃度比によって異なる量の塩化銀が生成して、白濁した懸濁水溶液となったり、白色沈殿が生成したりするのであるが、適切な濃度条件で白色懸濁液を調製してニッケル線を浸漬すると、ニッケル表面に白金ナノ粒子を高密度で修飾できることが明らかになった。この場合、析出物はおもに白金であるが、アルコールの電極触媒酸化応答からは、銀も少量含まれる合金が形成されていることがわかった。 塩化白金酸イオンのみを含む水溶液中にニッケル線を浸漬した場合、白金ナノ粒子はほとんど表面修飾できない。そのため、塩化銀を水溶液中で生成してニッケル線を浸漬する方法は、白金を析出させるために有効であると考えられる。また、この要因としては、塩化銀の酸化還元電位が銀イオンに比べて負になるためメディエータとして働くためと推察できる。そこで、水溶液中に共存させることを昨年検討した銅イオンと電位的に同じ関係を持つプロトンについても、水溶液中に共存させる方法、つまり、反応水溶液中に酸を添加する方法についても検討した結果、この場合も白金析出が促進されることが明らかになった。この方法は合金修飾ではないものの、白金の簡便な修飾法として電極触媒および反応触媒の調製法として有効であり、さらに検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、2種類の貴金属イオンが共存する水溶液中にニッケル線を浸漬する方法を発展させて、塩化銀共存下での白金・銀合金がニッケル表面に高密度で修飾できることを明らかにした。また、この検討から派生して、プロトンが白金析出に及ぼす興味深い効果についても見いだすことができた。そのため、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究については、前述したように研究は順調に進展しているので、さらにエタノールの電極触媒酸化以外の反応系への応用に関する検討や、ほかの貴金属合金系に関する検討、さらには、ニッケルマイクロ粒子への貴金属合金触媒の修飾についても研究を進めていく。また、プロトンと塩化白金酸イオンなどの特定の組み合わせで進行する貴金属イオンの修飾についても、その機構や応用を含めて研究を展開する。
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