研究課題/領域番号 |
21K05122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤田 雅弘 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (50342845)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | DNA / バイオセンサー / ナノ粒子 / 小角X線散乱 / 金ナノ粒子 / 小角X線散乱法 |
研究開始時の研究の概要 |
DNA鎖が高密度に集積した密生相はDNA構造に鋭敏に応答して特異な界面現象を示すが、その密生相で表層を覆われたナノ粒子のコロイド分散安定性に大きな変化をもたらすため、分子レベルの僅かな構造変化をコロイド系の色調変化として捉えることができる。この界面現象はDNA構造変化に伴うエントロピー斥力変化に起因するという作業仮説に基づき、新たな材料創成と実証実験を遂行し、それをセンサーとして応用することを目指す。四重鎖DNA構造に着目し、リガンドとの複合体形成におけるエントロピー斥力変化を駆動力としたセンサーの開発へと繋げる。詳細な構造物性解析を通し界面現象の理解を深め、センサーの最適化を検討する。
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研究実績の概要 |
短鎖のDNAが高密度に集積した密生相はDNAの構造に応答して特異な界面現象を示す。そのような密生相で覆われたナノ粒子では、分子レベルの僅かな構造変化が粒子のコロイド分散安定性に大きな変化をもたらすため、われわれの視覚にはコロイド系のマクロな色調変化として捉えることができる。この界面現象がDNA構造変化によってもたらされるエントロピー斥力変化に起因するという作業仮説に基づき、本研究では詳細な構造物性解析を通して界面現象の理解を深め、バイオセンサーとして応用することを目指す。ここでは、四重鎖DNA構造に着目するが、これはリガンドとの会合体形成によって構造変化を起こすためであり、その特性を活用したバイオセンサー開発とその最適化をおこなうものとする。本年度はシスプラチンと特異的に会合体形成する四重鎖DNAを対象にし、会合体形成時の構造変化のようすを解明することに集中して取り組んだ。 フリーの四重鎖DNA水溶液と四重鎖DNAを担持した金ナノ粒子溶液を調製し、溶液小角X線散乱(SAXS)実験をSPring-8にて実施した。シスプラチンが存在しないと高塩濃度下でもDNA担持ナノ粒子は分散したままであるが、その条件でシスプラチンを作用させると粒子は凝集する。SAXS解析の結果、シスプラチンを添加すると四重鎖構造がほどける様子が認められた。これは今回検討した塩濃度にはあまり依存しないようであり、シスプラチンと複合体形成し、コンフォメーション変化を生じてもDNA密生相は依然として高い立体斥力を有していることを意味する。このことは、シスプラチンにはDNA 鎖間で橋架けするような作用、すなわち粒子間凝集を起こすことはないことを強く示唆する結果である。四重鎖コンフォメーション変化に伴う立体斥力の低下が粒子凝集を引き起こす大きな要因であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の取り組みでは、フリーの四重鎖DNA構造とリガンドとの複合体形成におけるコンフォメーション変化に関する構造科学的な知見を得ることに集中して取り組んだ。リガンドであるシスプラチンと特異的に会合体形成する四重鎖DNA鎖を対象にし、溶液SAXS法による測定と解析、さらには非経験的構造解析を実施できた。測定条件のさらなる最適化や解析の精度を高めるなどの改善点はあるものの、再現良く実験データが得られているなど、おおむね当初の予定通り進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の進捗状況がおおむね当初の予定通りにであったため、引き続きこれまでの研究計画に沿って課題を遂行していく。四重鎖DNAとリガンドとの複合体形成の実像にせまれるよう、実験条件の最適化や解析精度を高めていく。また、センサー開発やその高感度化を目指すために、DNA配列、鎖長、固定化密度など材料設計に関わる因子、温度などの外部因子の効果についても調査していきたい。
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