研究課題/領域番号 |
21K05127
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田中 秀治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (40207121)
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研究分担者 |
竹内 政樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (10457319)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 流れ分析法 / 測色検出法 / 表色値 / 色彩値 / フロー滴定 / RGB単位ベクトル / 色相 / pH測定 / フロー分析 / フィードバック制御フローレイショメトリー / 動画撮影・測色法 / 表色値(色彩値) / RGB単位ベクトルの内積 / デジタルマイクロスコープ / 内積 / フロー分析法 / 振幅変調フロー分析法 |
研究開始時の研究の概要 |
流れの中の微小領域を動画撮影し,その表色値をもとに分析する方法を開発する。これを,研究代表者が創案した流量変化を利用するフロー分析法へと応用する。フィードバック制御フローレイショメトリー (流量比の高速走査と自動制御によるフロー分析法) への応用では,色ベクトル間の内積値の変化から当量点を判定し,ハイスループット滴定を実現する。三角波制御振幅変調フロー分析法 (周波数解析を導入したフロー分析法) への応用では,試料流量を周期的に変動させつつ流路末端に生じる液滴を測色し,高速フーリエ変換 FFTで解析することにより高濃度試料の非希釈分析を行う。
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研究実績の概要 |
経済的かつ簡便で汎用性の高い動画撮影/測色検出法を開発し,研究代表者オリジナルのフィードバック/固定三角波制御フローレシオメトリー等に応用する。本年度は,昨年度までの研究を継続し,以下の1)~ 3)について取り組んだ。 1)ソフトウェア開発:デジタル撮影機器の自動補正機能をON/OFFでき,その設定値もDirectShowLib.NET4.5 (ver1.0.0)を用いて任意に変更できるプログラムを,Visual Studio 2022上で開発した。色素水溶液を用いてプログラムを検証したのち,色素法による界面活性剤の臨界ミセル濃度の決定に応用した(日本分析化学会第72年会および第59回フローインジェクション分析講演会で発表)。 2)フロー滴定の当量点判定における各表色値の評価:研究代表者らが考案したフィードバック/固定三角波制御フローレシオメトリーに応用した。有色・有色間,有色・無色間の変色などさまざまな場合でRGB単位ベクトル間の内積(IP),色相,および輝度を用いた判定法を評価した。変色前後の色にかかわらず,IPが最も優れた分析性能(最大13.6滴定/分,相対標準偏差1.3 %未満)を与えた。局方医薬品(ホウ砂,硫酸亜鉛点眼液)の定量では,記載値との誤差5 %未満の分析値を得た。(第62回日本薬学会中国四国支部学術大会で発表) 3)pH測定への応用:広域緩衝液及び万能指示薬を用いて,pHと指示薬の色相との関係を求め,医薬品等のpH測定に応用した。研究協力者の博士後期課程大学院生 (エチオピア人留学生) の都合により,実験はあまり進展しなかったが,昨年度までの成果を原著論文としてまとめ,Talanta Openに公表するに至った。また,日本分析化学会第72年会および第59回フローインジェクション分析講演会でも,成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要に示した1)については,研究成果を学会で発表したものの,デジタルマイクロスコープの全ての自動補正機能を任意に解除あるいは設定できるレベルにまでは至らなかった。また,開発したプログラムの妥当性を証明するためには,さらなる実験データの蓄積が必要と考えられる状況でもある。2)については,データの再現性についての追試と,実試料を用いた検証が必要であり,実験の完了にまでは至っていない。3)については,原著論文の執筆と公表に時間を費やし,目標としていた万能指示薬の色相に基づくフロー滴定の終点決定に関する実験には進めなかった。その他,令和4年度中に実験を完了した液滴の動画撮影・測色検出法の研究に関しては,原著論文の執筆が中断している。 以上により,全体としては「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
測色デバイスの研究では,市販デジタルマイクロスコープの自動補正機能の解除や制御を行うプログラムの開発から軌道を修正し,金沢工業大の鈴木保任教授から提供いただいたカラーセンサー(S9706)ベースの小型検出器を用いて,デバイスに依存した自動補正を受けることなく,分析対象のリアルな色を取得する方法を検討する。 フロー滴定への応用では,データの再現性を確認するための追試と,開発した分析法の有効性を実試料を用いて検証する追加実験行う。 pH測定への応用については,万能指示薬の色相に基づくpH測定法を,滴定終点検出に応用する実験を再開している。混合物の逐次滴定(示差滴定)にも対応できるよう,自作Visual Basic .NETプログラムの改良も進めている。 窓のない光学セルとして液滴を用いる動画撮影・測色検出法の研究については,令和6年度中に本研究者が原著論文を執筆し投稿する。 12月にタイ王国チェンマイで開催される23rdInternational Conference on Flow Injection Analysisで,研究成果を発表する予定である。
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