研究課題/領域番号 |
21K05133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
土戸 優志 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (40737219)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 電荷移動錯体 / 蛍光 / メカノストレス / 超分子 / Charge-transfer complex / Fluorescence / Mechanostress / Supramolecule / メカノプローブ / 応力検出 / 分子間相互作用 / 超分子化学 |
研究開始時の研究の概要 |
材料にかかるメカノストレスを室温・温和な環境下で計測する方法は、現状では大きく限られており、これを解決するような材料開発が望まれている。そこで本研究では、材料にかかるメカノストレスを検知することができる高分子として、メカノプローブを導入した高分子の創製を目指す。この高分子材料の力学的負荷に対する応答機能について評価を行い、室温・温和な環境下でも計測可能な新規のメカノストレス検出システムの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、メカノプローブを主鎖に導入したポリマーを用いて、メカノストレスを検出する手法の開発を進めている。本年度は、メカノストレス検知ユニットとしてはたらく電荷移動錯体について、異なる長さのアルキル鎖で接続した錯体を複数合成し、その材料物性について評価を行った。 1)メカノプローブの合成:電子ドナーのピレンと電子アクセプターのナフタレンジイミドを、様々な鎖長のアルキル鎖をリンカーとしてつないで配列したメカノプローブを合成した。合成したメカノプローブを、有機溶媒に溶解して紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、500nm付近に電荷移動錯体由来の吸収が存在することがわかった。さらに、蛍光スペクトル測定により、ピレンの励起波長を照射しても蛍光発光しないことから、電荷移動錯体を形成していることが分かった。続いて、このメカノプローブの両末端から、ウレタン構造を持ったポリマー鎖を伸長させることによって、異なるアルキル鎖長を有する電荷移動錯体を主鎖につないだポリマーを合成した。合成したポリマーは、NMRおよびGPCを用いて評価し、目的のポリマーが得られたことを確認した。 2)メカノストレス応答機能評価 合成したポリマーをキャスト法によりフィルム状に成型し、試料片を作製した。この試料片を蛍光イメージング装置中で伸長させ、メカノストレス応答を評価したところ、ほとんど蛍光発光せず、鎖長を変化させても蛍光発光は生じないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に計画していた、メカノプローブの合成とポリマー合成、スペーサーの鎖長効果、およびスペーサー構造の違いによるメカノストレス応答機能の評価を進めた。その結果、オリゴエチレングリコール鎖とアルキル鎖のスペーサーを各々伸長した場合、メカノストレスを印加したときの蛍光応答に違いが見られた。これは、形成した電荷移動錯体の安定性の違いに起因していると考えている。目的の機能を有する材料設計に必要な知見を得ることができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ポリマーの分子設計を大きく変えたものを合成・評価することにより、メカノプローブの最適な配置位置についての知見を得る。また、将来的なバイオマテリアルとしての応用展開を見据えて、細胞毒性や細胞の接着性、細胞から加えられるメカノストレスに対する応答があるかなど、材料と細胞の相互作用についても評価する。ここまでに得られた知見をまとめて、学会発表、論文投稿等により研究成果を広く社会に還元するとともに新たな研究展開の可能性について検討していく。
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