研究課題/領域番号 |
21K05135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
能田 均 福岡大学, 薬学部, 教授 (20164668)
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研究分担者 |
坂口 洋平 福岡大学, 薬学部, 助教 (10712507)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 蛍光誘導体化 / 消光性物質 / ジスルフィド試薬 / オンライン還元検出 / 液体クロマトグラフィー / 蛍光誘導体化LC分析 |
研究開始時の研究の概要 |
一般的な蛍光誘導体化-LC分析は、測定対象物に対し蛍光物質を化学修飾し、LCで分離した後、蛍光検出を行う。検出は、修飾された蛍光物質が持つ蛍光特性を利用するが、測定対象物の構造によっては、消光するもの、励起、蛍光スペクトルが変化するもの、影響を受けないものと様々である。今回提案する蛍光誘導体化-LC法は、SS結合を有する蛍光誘導体化試薬を、測定対象物へ誘導体化し、LC分離後、オンライン還元反応を行うことで、検出する蛍光物質を単一の化合物に規格化するものである。
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研究実績の概要 |
蛍光検出法は、LC分析における検出法の一つであり、LC-質量分析(MS)が主流となった現在においても、その検出感度、汎用性、安定性、費用対効果から利用することも多い。その際、測定対象の多くは蛍光性を持たないため、蛍光団を測定対象物へ化学修飾する蛍光誘導体化法が用いられる。蛍光誘導体化法を用いることで、無蛍光性の測定対象物であっても、構造中に反応活性部位があれば、蛍光検出が可能となる。そのため現在では数多くの蛍光誘導体化試薬が開発され、市販されており、広範囲の分野において、多くの物質に対して適用可能となっている。しかし、測定対象物の構造内に重原子や強力な電子求引基もしくは、別の吸光団を持つ化合物は、重原子効果または蛍光共鳴エネルギー移動などにより減光または消光する場合がある。このような場合、高感度な分析が困難であった。またこれらの官能基が存在しない場合でも、測定対象物の化学構造が蛍光強度に影響を与えるため、同じ蛍光団を誘導体化した場合でも、測定対象物によってそれぞれ異なる蛍光強度が異なる。そのため、通常のLC分析と同様に、測定対象物それぞれ個別の標準品が必要となる。 これらの問題点は、蛍光発現が種々の環境に影響されることに起因するものであり、現状の蛍光誘導体化LC分析法では解決することは難しい。今回提案する蛍光誘導体化-LC法は、ジスルフィド結合を有する蛍光誘導体化試薬を、測定対象物へ誘導体化し、LC分離後、オンライン還元反応を行うことで、検出する蛍光物質を共通の蛍光物質として蛍光検出を規格化するものである。これにより、測定対象物の構造に依存しない検出が可能となり、これまで蛍光誘導体化が適用できなかった物質(重原子または強力な電子求引基を含有する物質)への適用や、個別の標準品を必要としない定量が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、スルフィド構造をもつ蛍光誘導体化試薬の合成、本分析システムの構築及びモデル化合物にアルキルアミンを用いた定量性の確認を行い、次の点について明らかにしている。まず、①合成、精製した蛍光誘導体化試薬は、質量分析計により予想される構造であることが確認された。また、本誘導体化試薬を用いてアルキルアミンへの誘導体化が可能であった。②アルキルアミン誘導体及び本誘導体化試薬を用いてオンライン還元条件の最適化を行い、還元反応が完全に進行し、いずれのアミンからも単一の蛍光物質が生成することを確認できた。③本システムの定量性を確認するため、安定同位体希釈-質量分析法により得られた定量値と本システムにより得られた定量値とで比較し、標準偏差内で一致することが確認された。 令和4年度においては、①より蛍光特性が望ましい蛍光団としてニトロベンゾオキサジアゾール(NBD)をもつ蛍光誘導体化試薬を合成し、その構造確認を行った。②この試薬を、蛍光消光性アミノ酸であるトリプトファンをモデル化合物に用いて蛍光誘導体化及び逆相LC分離、オンライン還元-蛍光検出に基づくLCシステムの原理確認を行った。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光誘導体化試薬が、機能上分子量が大きくなり、溶解性や極性などの特性から誘導体化及びLC分離の最適化に更なる創意工夫と発想の転換が必要と考えている。誘導体化においては、溶媒の選択、触媒の添加、熱以外に光、超音波等の利用などを、LC分離では移動相、カラム等を種々検討などを考えている。 対象とした化合物は、トリプトファンと対象にロイシンの2種アミノ酸2種のみであり、さらに適用範囲拡大が必要となる。そこで、通常の蛍光誘導体化LC分析法で適用ができない物質(例えばヨウ素、臭素などが結合された医薬品やアミノ酸であるトリプトファンなど)へ適用し、蛍光検出できるかを検討する。また、その与える蛍光強度が測定対象物の構造に依存しないかを検証する。 また蛍光誘導体化の解列部分としてジスルフィドを用いているが、今後はアゾ色素構造やジオキソ化合構造を持つものについて検討する。
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