研究課題/領域番号 |
21K05138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中村 健道 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別嘱託研究員 (10360611)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | tandem mass spectrometry / fragmentation pathway / isomerization / ion structure / ion mobility / collisional excitation / energetics / macrocyclic peptides / energy-resolved IM/MS/MS / model chemistry / CID |
研究開始時の研究の概要 |
タンデム質量分析は有機化合物の定性・定量に広く用いられるが,元の構造からは解釈困難なフラグメントイオンが観測されることが少なからずあり,未知物質の構造解析における有用性は限られている.測定原理の考察から,衝突活性化の際に骨格転位を含む異性化が広く起こりうる,という仮説が導出された.エネルギー分解質量分析,イオン移動度分析,計算化学手法を統合した異性化フラグメンテーション経路解析により仮説を検証し,既存手法の限界を明らかにする.
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研究成果の概要 |
衝突誘起解離 (CID) タンデム質量分析 (MS/MS) は,ソフトイオン化された有機分子の構造解析や異性体識別に汎用される.しかし,スペクトルから得られる構造情報は,断片化に先立つ異性化によって劣化する恐れがある.CIDに競合する異性化プロセスである衝突誘起異性化 (CII) を,エネルギー分解タンデム質量分析 (ER-MS/MS), イオン移動度分析タンデム質量分析 (IMS/MS/MS), および計算化学の手法を用い探求した.ER-IMS/MS/MS 実験により,異性化イオン存在比が衝突励起の度合いに依存して変化することが観測され,衝突エネルギー依存的 CII 過程の存在が示された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた知見である,微量有機分子のタンデム質量分析において汎用される CID の条件下で前駆イオンの骨格転位を伴う異性化が起こりうる,という事実は,マススペクトルデータを用いて構造解析を試みようとする有機化学者にとって「不都合な真実」である.しかし,衝突エネルギー依存的な骨格転位の頻度や前駆イオン構造要素との関係性が解明されていくことにより既存手法の限界が明確化する同時に,構造解析や異性体識別の可否などを適切に評価することが可能となり,分析の信頼性向上と新たな解析法開発の指針へと繋がっていくことが期待される.
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