研究課題/領域番号 |
21K05140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
西館 数芽 岩手大学, 理工学部, 教授 (90250638)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 光触媒 / ダブルペロブスカイト / 第一原理計算 / 表面電子状態 / 第一原理電子状態計算 / 電子構造 / 反応機構 |
研究開始時の研究の概要 |
光触媒作用のある半導体はいくつか知られているが,その中でも最も一般に用いられているのは酸化チタンである。しかしながらバンドギャップが 3.2 eV と 大きいため感度が紫外域のみに限られてしまう。可視光に感度のあるダブルペロブスカイト型光触媒は 太陽光により効率的に水素を製造できるポテンシャルを秘めている。しかしながらダブルペ ロブスカイト型光触媒の更なる機能向上のためには原子構造と電子構造についての理解と, 表面における反応機構の解明欠かせない。この難題の解決に理論の立場から貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では,酸化チタンに代わる光触媒物質として有望な可視光応答型ダブルペロブスカイト半導体を対象に,その結晶構造と特異な電子構造を第一原理電子構造計算によって探る。光触媒反応は太陽エネルギーを直接化学エネルギーである水素に変換する反応であり,最もクリーンな水素製造技術となる可能性を秘めている。しかしながら酸化チタンのバンドギャップは紫外光領域にのみ感度があり,他の波長領域の光は吸収できない。また生成された電子・正孔対は再結合の確率が高く,表面における酸化還元反応に寄与するのは限られている。そのため酸化チタンに代わる光触媒が盛んに探索されている。本研究の目的とは可視光に感度のあるダブルペロブスカイト酸化物半導体を探索物質群に設定し,電子構造の設計,混合原子価型元素の選択的置換,表面構造の設計の3つの観点から光触媒特性の機構解明と機能向上に対する指針を得ることである。 本年度はBサイトの元素置換がダブルペロブスカイトの電子状態へ及ぼす影響をHSEハイブリッド汎関数を用いた第一原理電子構造計算により見積もった。バンド計算のセルにC2/m構造の標準セッティングを用い,1セルあたり2ユニットのBaBi^(III)Bi^(IV)O6を含むスーパーセルを構築した。この系には5価のBi(Bi^(IV))が2個含まれる。これを1個ずつSb^(IV)と置換することによりバンド構造が変調され,ギャップが徐々に開いていく様子が確認された。バンドギャップが開くことは実験的にも確認されており,妥当な計算結果と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は特に実験サイドからの要請により,元素置換によるバンド構造の変調を集中的に調べた。また表面スラブのバンド計算であるが,HSE06ハイブリッド汎関数においては通常のPAWポテンシャルよりもノルム保存の擬ポテンシャルの方が遙かに収束性が高いことがわかった。その他,仕事関数の見積もりも終了している。しかしながら格子欠陥系の計算の収束性に問題があるため,計算法の工夫を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
収束性が高いノルム保存の擬ポテンシャルによるHSE06ハイブリッド汎関数の電子構造計算を進める。スラブ系の計算の結果,間接バンドギャップの値は,ほぼ実験値(1 eV)に近い値となった。今後より現実的な条件を用いて計算の精度を高めていく。
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