研究課題/領域番号 |
21K05149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
沖原 巧 岡山大学, 自然科学学域, 講師 (70243491)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | エチレン‐ビニルアルコール共重合体 / 生分解性高分子 / リン酸 / マイクロ波加熱 / エチレンビニルアルコール共重合体 |
研究開始時の研究の概要 |
エチレンビニルアルコール共重合体のリン酸化物はエチレン残基の強い疎水性にもかかわらず、水酸基およびリン酸基の電離状態により、水溶性とすることができる。リン酸基がpHや金属イオンの存在のような外部からの刺激により、電離状態などを大きく変化させることから、この水溶性は制御可能である。また、この高分子はポリビニルアルコールと類似の化学構造の部分から生分解されていくことが期待できる。これを利用して非水溶性で安定な主鎖を持つ生分解性高分子材料の開発を行う。
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研究実績の概要 |
エチレンビニルアルコール共重合体リン酸化物について,昨年度まで、ポリビニルアルコール分解菌の細胞外酵素による分子鎖の部分酸化による切断を経て分子量低下するため、これを粘度変化により評価し,確認していた。今年度は分子鎖のオリゴマー化による菌体への取り込みと代謝の進行に焦点を当てて研究を進めた。エチレンビニルアルコール共重合体リン酸化物を炭素源としてポリビニルアルコール分解菌の培養を進めると、培養液中の全有機炭素量は低下してゆき、分子量が低下したエチレンビニルアルコール共重合体リン酸化物はポリビニルアルコール分解菌により代謝されて、二酸化炭素にまで分解することが明らかとなった。比較検討のため、同様の実験を生分解しにくいといわれるポリアクリル酸について行ったが、代謝されることはなく、全有機炭素量は減少しなかった。そのため、実験操作上の有機炭素の損失ではないことがわかった。これらのことから、エチレンビニルアルコール共重合体リン酸化物は菌外酵素により分子鎖を切断され、低分子化した後、エチレンの含有率が高いにも関わらず、菌体内に取り込まれた後に代謝され、二酸化炭素として放出されることが全有機炭素量の減少となって現れたと結論付けた。これらのことから、エチレンビニルアルコール共重合体は非水溶性であり生分解性を示さないが、リン酸化することにより、リン酸化物として水溶性を示すようになり、菌外酵素の攻撃を受け、分子鎖の切断による低分子化を経て、菌体内に取り込まれ、代謝されていくことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生分解性の証明として、昨年度の分子鎖の切断による粘度低下および、今年度の溶解している全有機炭素測定からビニルアルコール分解菌による分解代謝をほぼ確認できた。さらに、分子鎖の切断によるナノプラスチック化ではなく二酸化炭素にまで完全に分解されていることが明らかになったことから、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
生分解に最適な組成を見出だすために、エチレン残基とビニルアルコール残基およびリン酸基の導入量の調整により種々の組成のエチレンビニルアルコールリン酸化物について生分解性の評価を行う。さらに水溶性と生分解性の関連の評価を行う予定である。
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