研究課題
基盤研究(C)
環境低負荷なケミカルリサイクル法の確立を目的としている。水と二酸化炭素は、環境負荷の低い物質である。これらが反応して生成する炭酸水もまた、広く一般に飲料水として広まっている。炭酸は、これまでに用いられた高分子のケミカルリサイクルに用いられる一般的な薬品とは異なり、望まない副反応などは誘起しない環境負荷の低い物質である。申請者は、上述の炭酸を用いた酸性条件で誘起される化学反応を利用して、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどを加水分解することで、ケミカルリサイクル法を確立する。対象としているプラスチックは、海洋プラスチックごみとして大きな割合を有し、本研究課題の達成は極めて重要な課題である。
本研究は、環境負荷が極めて低い炭酸水を用い、廃高分子(海洋プラスチックごみ)の加水分解によるケミカルリサイクル法の開拓を目的とする。申請者は、炭酸水中の炭酸が酸触媒として作用する種々の反応を見出している。高分子の炭酸水による加水分解は、1)環境低負荷な炭酸水を用いて行い、2)純度の高いモノマーを与え、3)中和操作も必要としないため、4)中和塩(廃棄物)の生成がないという独自の手法を開拓した。
本研究によりポリオールの化学構造が本炭酸水での加水分解反応に与える影響は、その親疎水性に大きく依存していることが明らかになった。特に、架橋構造が加水分解反応に与える影響は非常に大きく、これは研究開始時には予想されていなかった新たな知見を得た。すなわち、一次構造だけでなく、化学的架橋や物理的架橋の導入が加水分解に与える影響を明らかにしたことは、高分子化学や材料科学の分野における理解を深める学術的意義を有する。この知見は、環境に優しい材料の開発や、持続可能な化学工業への応用に貢献する可能性があり、加水分解反応を利用したリサイクルプロセスや環境分解性材料の設計において重要な指針となると考えられる。
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