研究課題/領域番号 |
21K05153
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
坪和 幸司 (竹田幸司) 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (00572497)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高分子触媒 / ロジウム(II)錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、四つのカルボキシラート配位子のうち、一つだけが異なる配位子をもつ混合配位子Rh(Ⅱ)錯体を創出し、本錯体の合成を基盤とする新しい固定化触媒の開発に取り組んできた。当該研究では、最近合成した新しい特性をもつ可溶性架橋高分子やイオン高分子に混合配位子Rh(Ⅱ)錯体を用いる固定化を適用し、優れた触媒回転能と不斉識別能を兼ね備え、かつ繰り返し使用可能な触媒を開発する。
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研究実績の概要 |
均一系遷移金属錯体を用いた触媒的不斉合成プロセスにおいて、錯体の高分子担体への固定化は、生成物の分離を容易にし、高価な触媒の回収・再利用を可能とする。しかし、従来の高分子上に坦持した配位子と金属錯体との配位子交換を経る固定化では、反応性・選択性の低下をまねき、再利用回数も数回程度に留まっている。これまで研究代表者は、前例のない、四つのカルボキシラート配位子のうち一つだけが異なる配位子をもつ混合配位子Rh(II)錯体を創出し、本錯体の合成を基盤とする新しい固定化触媒の開発に取り組んできた。混合配位子Rh(II)錯体を用いる固定化は、各単量体の割合や構造、重合条件等を調節することで、反応系や合成プロセスに適した物性をもつ高分子錯体の合成を可能とする。そこで、本研究では新しい特性をもつ可溶性高分子の合成を検討した。 共重合の反応手法・条件を系統的に精査して、低温下でも使用できる可溶性架橋高分子の合成を検討したところ、自由度の高い架橋剤を用いて均一系重合を行うと、可溶性高分子としては異例の-78 °C下でも容易に攪拌可能な可溶性架橋ポリスチレン誘導体が得られた。一般的な可溶性鎖状ポリスチレンが温化低下により急激に粘度上昇を引き起こすのに対して、本架橋高分子の場合、温度変化の影響が著しく小さいことが判明した。 2,3-二置換ジヒドロベンゾフランは、生物活性ネオリグナン系天然物の基本骨格の一つである。そこで、本化合物を標的としたα-ジアゾエステルの分子内不斉C-H挿入反応に可溶性架橋高分子錯体を適用したところ、固定化触媒としては異例の-78 °C下でも反応が進行し、完璧なシス選択性およびRh2(S-PTTL)4と同等の不斉収率で環化体を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍や本学学生支援に係る校務により研究遂行に制限があったため、イオン高分子錯体触媒の合成や分析に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、可溶性架橋高分子錯体の回収・再利用を検討し、ジヒドロベンゾフランライブラリーの構築に至る触媒的不斉合成プロセスを開発する。 また、金属錯体の高分子鎖への固定化は、エントロピー的に不利となるため、原理的に反応性の低下を招いてしまう。そこで、ミクロ疎水性反応場を形成するイオン高分子錯体を開発し、この課題を克服する。イオン高分子錯体は、イオン液体に高い親和性を示すだけでなく、イオン液体中で、いわゆるミセルとは異なるミクロ疎水性反応場を形成することが期待される。予備的知見だが、基質の濃縮効果により、分子内不斉C-H挿入において、本錯体は母型錯体よりも反応時間を短縮することが可能であった。今後、これまでに得られた知見を、当該イオン高分子錯体に展開し、優れた触媒回転能と不斉識別能を兼ね備え、かつ繰り返し使用可能な触媒を開発する。
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