研究課題/領域番号 |
21K05163
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
福元 博基 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (70313369)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | フッ素樹脂 / フルオロアルケン / 撥水性ポリマー / 透明ポリマー / 透明性フッ素樹脂 / ペルフルオロアルケン / ラジカル重合 / 透明性材料 / 低屈折率光学材料 / 重合 |
研究開始時の研究の概要 |
入手可能なフルオロアルケンの求核剤に対する反応性を巧みに利用した低屈折率光学材料への応用展開を指向する透明フッ素樹脂の高効率合成プロセスを開発する。 本合成法はラジカル重合性のフルオロアルケン部位とアニオン(またはカチオン)重合性のアルケン部位を同一骨格内に導入したモノマー合成、プレポリマー化と引き続くラジカル重合によるポリマー化から構成され、製膜化に重要な分子量・分子構造を制御した透明樹脂の合成を可能とする。製膜樹脂の透明性、耐熱性、屈折率を測定し、低屈折率光学材料への応用可能性を明らかにする。 成型加工プロセスの利便性の向上の観点から、プレポリマーの光固相重合による高品質透明膜の作製も行う。
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研究実績の概要 |
本研究では入手容易なフルオロアルケンの求核剤に対する反応性を巧みに利用した、低屈折率光学材料への応用展開を指向する透明フッ素樹脂の高効率合成プロセスを開発する。開発した透明フッ素樹脂の透明性、耐熱性、屈折率、撥水性なども併せて評価することで、低屈折率光学材料への応用可能性を明らかにする。具体的な原料のフルオロアルケンにはオクタフルオロシクロペンテン(OFCP)、またフルオロアルケンの前駆体としてヘプタフルオロシクロペンテン(HFCP)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)を用いることを予定している。 今年度はヘキサフルオロプロペン(HFP)を原料とする含フッ素ポリアクリレートの合成を中心に行った。まず初めに前駆体のバートレルに対して塩基を作用させることで鍵となるHFPを合成し、次いで塩基存在下、2-ヒドロキシエチルアクリレートと反応させることで、同一分子内に重合性の異なる2つの二重結合を有するフルオロアルケンを合成した。 合成したモノマーのアニオン重合を行ったところ、有機溶媒に可溶なプレポリマーが得られた。次にラジカル開始材を用いたラジカル重合を無溶媒で行ったところ、不溶なポリマーが得られた。固体13CNMR、IR測定により目的ポリマーであることを確認した。また、ラジカル重合開始剤を含むプレポリマーをガラス板上に塗布した後、加熱による固相重合を行ったところ、基板上に透明な薄膜が形成された。静的接触角は110°であり高い撥水性を示し、UV-vis測定では紫外領域まで高い透明性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画では最初にヘキサフルオロプロペン(HFP)を基本骨格とする含フッ素透明樹脂を開発する予定であったが、昨年度はヘプタフルオロシクロペンテン(HFCP)を原料とする樹脂の開発の方がより早く進展することがわかったため、開発する順番を入れ替えた。結果的に研究全体の進捗状況に影響を及ぼすことがなかったため、順調に進展していると判断した。今年度は当初に予定していたHFPを基本骨格とする含フッ素透明樹脂の開発に取り組み計画通りに進展したことから、順調に進展したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きフッ素樹脂の合成並びに合成した樹脂の撥水性、透明性などの物性評価を行う。また合成したポリマーの分子構造の詳細を明らかにすることで、諸特性との関連を議論する。
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