研究課題/領域番号 |
21K05170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
門川 淳一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30241722)
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研究分担者 |
山元 和哉 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (40347084)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多糖 / アミロース / 酵素触媒重合 / 非天然型 / 超分子 / アナログ多糖 / 酵素合成 / グルカンホスホリラーゼ / 非天然型多糖 / 多糖超分子 / 高次構造 |
研究開始時の研究の概要 |
多糖は生体組織を構成する主要成分であり、その一次構造および高次構造が規則正しく制御されることによって、それぞれ特有の高度な機能を発現している。本研究を推進することで、アナログ基質をモノマーとするグルカンホスホリラーゼ触媒重合を利用して、新規なアミロースアナログ多糖を得ることができる。新規糖鎖構造の構築により、新しい性質や機能を有する高分子材料素材として発展することが期待される。特に、アミロースは自発的な超分子形成能を有する機能性高分子として知られており、本研究の遂行により、そのアナログ多糖からのユニークな超分子の形成に結び付き、新規な多糖ベースの機能性高分子材料創出への発展が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、グルカンホスホリラーゼ(GP)酵素触媒重合を利用して新規な非天然型多糖の合成とナノ集合体(超分子)形成挙動について検討している。グルカンホスホリラーゼ(GP)は、グルコース1-リン酸(Glc-1-P)をモノマー、α(1→4)-非還元末端をプライマーとして構造明確な多糖(アミロース)を得る重合を触媒する酵素である。GPは基質特異性の緩さを示すことから、研究代表者はGPをアミロースアナログ多糖合成に用いることができることを見出してきた。 これまでの研究により、非天然型の基質であるグルカールと天然型の基質であるGlc-1-Pをコモノマーに用いたGP酵素触媒共重合により得られる部分2-デオキシ化アミロースが容易にフィルムを形成し、疎水性を示すことを見出している。そこで本年度の研究では、高い親水性の天然高分子であるカルボキシメチルセルロースやポリ(γ‐グルタミン酸)に部分2-デオキシ化アミロースを酵素的にグラフトすることで疎水化を検討した。まず、適切に設定された反応により、上記天然高分子にα(1→4)-プライマーを導入し、その非還元末端からグルカール/Glc-1-PのGP酵素触媒共重合を行うことで、目的の生成物を得た。生成物から作成したフィルムの水との接触角測定から、高い疎水性を示すことが分かり、本手法の有用性が確認された。 さらに、GPの基質特異性の緩さを利用して両末端カルボキシレート化オリゴ糖架橋剤を合成し、水溶性キトサンとの架橋反応によりナノゲル創製を達成した。また、GP酵素触媒重合で得られるアミロースと種々のポリエステルから多糖超分子を合成することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、GP酵素触媒共重合で得られる部分2-デオキシ化アミロースフィルムが疎水性を示すことに立脚して、種々の親水性天然高分子に対して、GP酵素触媒共重合を用いて部分2-デオキシ化アミロース鎖を修飾することで疎水化を検討した。その結果、生成物は高い疎水性を示すことが分かり、部分2-デオキシ化アミロース鎖の酵素的修飾が親水性高分子の疎水化に極めて有効な手法であることを明らかにすることで、今後の本手法の発展が期待される。また、GP触媒反応を利用して、多糖ナノ材料や超分子の創製も達成した。以上のことから本研究は当初の計画以上に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行ってきたGP酵素触媒共重合による部分2-デオキシ化アミロースのグラフト化を利用した疎水化手法を発展させて、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーの疎水化を行う予定である。これらのナノファイバーは新しい機能性バイオベースナノ材料として期待されていることから、多糖修飾による疎水化が達成できれば、本来の性質を失うことなく疎水性樹脂などとの複合化が期待でき、新しい用途開発につながると予想される。
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