研究課題/領域番号 |
21K05172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岡本 専太郎 神奈川大学, 工学部, 教授 (00201989)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 環化付加重合 / 環状ポリエン / 共役高分子 / ニッケル触媒 / 環状高分子 / 高分子合成 / 触媒反応 |
研究開始時の研究の概要 |
1,6-ジインの非環状ポリエンヘの重合は,いくつかの形式が考えられる。head-to-headとtail-to-tailの線状高分子については金属アルキリデン錯体を触媒 とするメタセシス重合で合成可能であり,機能性高分子を含む多くの研究例が有る。しかし,tail-to-tailやhead-to-headの合成例は見当たらない。本研究での重合は,予想される反応機構からtail-to-tail型の重合であると思われ,前例が無い研究 となる。一方,環状ポリエンの合成報告は,調査の限り, Veigeらのタングステン触媒を用いる報告のみである。従って,本 研究は,ほとんど未開拓の環状ポリエン高分子の化学に有用な成果を提供することになる。
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研究実績の概要 |
1,6-ジイン化合物の触媒的環化付加重合に於いて,嵩高い窒素系配位子を持つニッケル触媒を用いると環状ポリエン高分子が選択的に生成することを見出し,新しい重合反応として確立した。 得られた高分子のMALDI-TOF-MSおよびGPC分析から,全てが末端構造を持たない環状高分子であり,しかも,狭い分子量分散で生成することを明らかにした。重水素化された1,6-ジインを用いた反応によって,分子構造を明らかにした。以上の知見から,この重合反応の反応機構を提案し,特に,狭い分子量分散で環状高分子が生成する理由を考察した。各種の部分構造を有する1,6-ジインを用いる重合を検討し,広い基質適用性および高い官能基選択性を明らかにした。 異なる2種類の1,2-ジインの共重合が可能であり,これを用いて官能基化されたジインとの共重合体の核磁気共鳴スペクトル分析から,生成高分子はおおよそ8量体を中心とする分子量分散の狭いオリゴマー混合物であることを明らかにした。生成した環状高分子は,熱異性化によりall-trans型環状ポリエンに変換できることと、その際の異性化前後の物性比較を行った。これらの研究成果について論文発表した。 さらに,モノアルキンとの共重合も可能であり,特に,配位性官能基を有するモノアルキンが効率良い共重合の基質であることを見出した。プロパルギルアルコールとの共重合生成物のアリルアルコール部を利用した官能機変換が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた (v) 同様構造の鎖状高分子の合成については,プロパルギルアルコールとの共重合が可能で,生成高分子のアリルアルコール部を利用した官能機変換が可能であり環状ポリエンの環切断に可能性を示すことができた。(vi) 生成環状高分子の基礎物性については,縮退した環状高分子の熱異性化反応を見出し,異性化前後の光学特性を含む物性を比較できた。2種類のジインやモノアルキンとの共重合を達成し,次年度の研究の基礎を築いた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究計画がほぼ計画通り成果を上げることができており,また,2023年度で計画していた環状高分子の異性化反応をすでに達成している。2023年度は同様部分構造を有する鎖状高分子を合成し,物性比較を行う。さらに,この環状高分子が側鎖(ペンダント部分)に導入した官能基を高度に集積し,しかも分子量分散が極めて狭いオリゴマー集合体であることに着目し,側鎖部に導電性構造を導入した導電性高分子への応用開発を進める。
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