研究課題/領域番号 |
21K05173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小笠原 伸 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (80706606)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | クロロフィル / Barluenga試薬 / ポリ(4-ビニルピリジン) / 多孔質ポリマー / 重合誘起相分離 / ポリマー / デンドリマー / Schiff塩基 / アザマイケル付加反応 / イソシアネート / ラジカル重合 / 縮合反応 / カチオン性置換基 / 光機能性ポリマー |
研究開始時の研究の概要 |
天然由来のクロロフィル(Chl)-a を出発物質とした、周辺置換基の位置選択的な変換とその物性変化についての研究は数多く報告がなされている。しかし、カチオン性置換基の導入についての研究は限られており、位置選択的に行った例はほとんどない。そこで研究代表者らは、Chl-a 誘導体に1 段階でビニル基選択的にカチオン性N-ヘテロ芳香環を導入する合成手法を開発した。 本課題では、( i )カチオン性Chl-a 誘導体に重合性官能基を導入し、( ii ) 支持担体表面へポリマーとして固定化、( iii ) それらの光機能性について評価を行い、カチオン性Chl-a 誘導体による光機能性材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
天然由来のクロロフィル(Chl)誘導体を、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)に共有結合を介して導入することを試みた。 P4VPへのChl誘導体の導入には、以前に我々が報告したBarluenga試薬によるChl誘導体の3-ビニル基へのピリジン類の酸化的付加反応を利用した。この反応によって、3-ビニル基のクロリン環に近い側の炭素とピリジン中の窒素との間にC-N+結合が形成され、カチオン性のChl誘導体が得られることが確認されている。 まず、市販品である平均分子量が約64,000のP4VPとChl誘導体の反応について検討を行った。その結果、ピリジン部位の数に対して0.5, 1.3, 2.5%の量のChl誘導体を反応系に添加した際、それぞれピリジン部位の数に対して0.2, 0.7, 1.3%のChl誘導体が付加したことがGPCと紫外可視吸収スペクトルから示された。この時の紫外可視吸収スペクトルにおける極大吸収波長は、上記の反応においてモノメリックなピリジンにChl誘導体を反応させて得られたカチオン性Chl誘導体と一致しており、C-N+結合の形成が示された。 また、平均分子量10,000程度のP4VPを合成し、同様の手法でChl誘導体を導入したところ、ピリジン部位に対して最大15%のChl誘導体を導入することに成功した。 こうした一連のカチオン性Chl誘導体が結合したP4VPの蛍光量子収率測定を行ったところ、P4VP中のカチオン性Chl誘導体の量が多いものの方が量子収率が低下する傾向にあることが示された。 また、上記とは別に、ビニルピリジンとエチレングリコールジメタクリレートを用いて重合誘起相分離法で比表面積が約500 m2 g-1の多孔質ポリマーを調製し、その表面にも同様の手法でカチオン性Chl誘導体が固定化できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた合成手順とは経路が変わってしまったが、目的としていたカチオン性Chl誘導体の支持体となるポリマーへの導入手法が確立でき、学会で報告することができた。現在、補足データについて検討しつつ、論文作成の準備を行う段階まで至っている。
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今後の研究の推進方策 |
カチオン性クロロフィル(Chl)誘導体をポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)に導入したものについて、光反応による活性酸素種の発生や、金属イオンの捕捉などについての応用展開について検討を行っていく。
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