研究課題/領域番号 |
21K05184
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
登阪 雅聡 京都大学, 化学研究所, 准教授 (10273509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シミュレーション / 動的粘弾性 / ミセル / 界面物性 / エマルジョン重合 / 表面力測定 / トポロジー / 自己組織化 / ミセル形態 / 流体力学半径 / 分子設計 / 階層構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、独自に開発した手法で構造パラメータが制御された多分岐ブロックコポリマー(Hyperbranched block copolymer, HBBCP)を合成し、溶液中や固液界面に形成する凝集構造およびその物性を実験的に解析する。そうして得られた実験データから、HBBCPの構造パラメータが凝集構造形成に与える影響を、定量的に理解する。将来的には機械学習により所望の物性を発現する分子設計を行うことも視野に入れ、実験データ蓄積を行っていく。本研究の成果により、直鎖高分子では到達出来なかった、高度な粘度制御、界面構造の改質、分散性の向上、および多分岐高分子独自の新分野開拓が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究で用いる手法は、分岐構造を制御しながら多分岐ポリマー(HBP)を一段階で合成できる点が特徴であるが、構造にはある程度の分布が存在する。そこで、HBPの形成過程をシミュレーションして、分岐度や分子量を変えたHBPの分散度や重合速度を良く再現するソフトを開発した。個々の多分岐高分子について分子量と分岐数に関する統計的な傾向を解析することで、設計通りの構造に近い生成物が得られている事が示された。 1分子あたりの分岐数を揃えながら分岐点間の長さを変えた一連のHBPについて動的粘弾性測定を行った結果、いずれの試料も直鎖ポリマーより低い粘度であり、かつ、分岐数が多い試料ほど低粘度となることが示された。さらに、固有粘度の値をHBPの最長末端間距離に対してプロットすると、マスターカーブの得られることが明らかとなった。 基板表面の凝集状態に関しては、多分岐高分子溶液を微小ギャップ間に配置した表面力測定により解析した。対向する基板が分子レベルで近接する際、応力が急上昇する「ハードウォール距離」は、HBPが直鎖ポリマーの二倍程度という結果が得られ、摩擦低減に有効であると示された。 制御されたHBP構造を有するブロックコポリマーは、二つの手法で作られた。溶媒誘起自己組織化法(PISA) を用いて、直鎖の親水性ポリマーから、分岐構造を制御した疎水性ポリマーを成長させ、得られたミセルの形態変化から、分岐構造も凝集構造の形態制御に用いることが出来ると、初めて実験的に示された。また、均一系で疎水性のモノマーを用いてHBPを合成し、その先端に水酸基を付与した試料も合成した。この試料について温度を変えた動的粘弾性測定を行ったところ、時間温度換算則を用いた重ね合わせの出来ない事が明らかとなった。これは、分子末端の水酸基による分子間相互作用の強さが温度に依存している事を意味している。
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