研究課題/領域番号 |
21K05190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
福田 知博 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30611917)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 糖鎖高分子 / リビングラジカル重合 / オリゴ糖 / チオラクトン / 分子認識 / ベロ毒素 / レクチン |
研究開始時の研究の概要 |
糖鎖高分子は生体内の糖鎖機能を簡便に模倣可能な材料として知られている。一般的に、目的とする糖鎖機能を得るためにはその糖鎖を導入した糖鎖高分子が必要となるが、分子認識の仕組みに基づけば適切な糖鎖導入や精密な構造制御を行うことで機能模倣を果たすことは可能である。本研究では糖鎖を厳密に配列して導入可能な重合後修飾反応法によって、精緻に二価提示された糖鎖高分子を創製し、精密構造設計に基づく分子認識能を明らかにする他、この手法に基づいて設計された糖鎖高分子の基材への複合化法を確立する。
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研究実績の概要 |
前年度までに合成したチオラクトン側鎖モノマーは、それぞれアミンおよびアリルを持つ2分子によって重合後修飾反応(post-polymerization modification)法を行うことが可能であり、前年度までに本手法で新規な糖鎖高分子の精密合成を行ってきた。しかし、本手法では重合後修飾反応中にRAFT剤中のチオカルボニル基が分解するため、一般的なRAFT重合高分子で可能な、任意のタイミングでのチオカルボニル基還元によるメルカプト基提示とその利用が不可能であり、チオラクトンプレポリマーを経由する機能性高分子の基材表面への固定化等の材料化も不可能であった。 そこで、ラジカル重合やアミン求核攻撃に耐性のある2-メルカプトピリジル基で保護されたメルカプト基を分子内に有する新規トリチオカルボネート型RAFT剤および重合開始剤の合成を行った。合成した新規RAFT剤および重合開始剤とともに側鎖にチオラクトンを担持したアクリルアミド型モノマーとN-イソプロピルアクリルアミドを共重合することにより、二官能基反応性プレポリマーを合成した。 また、前年度までに合成したガラクトース誘導体に加えて、ラクトースのアノマー位にアミンまたはアリルを有するラクトース誘導体をそれぞれ合成し、ガラクトース誘導体と共に二官能基反応性プレポリマーに対して導入反応を行った。 しかしながら、単糖であるガラクトースと比べて二糖ラクトースにした場合には、これまでの反応条件では立体障害の影響か導入効率が低くなることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は4つの段階を経て研究目的が達成されるが、これまでに①新規側鎖二価型糖鎖高分子調製法の確立 および②局所多価的な新規糖鎖高分子の分子認識能評価、③異なる二価糖鎖導入によるオリゴ糖模倣機能糖鎖高分子の創製を達成してきた。 2023年度は④の異なる二価糖鎖導入によるオリゴ糖模倣機能糖鎖高分子の最適化と材料化に関する研究を実施してきたが、新規RAFT剤と重合開始剤の合成法の確立に時間を要したこと、および導入糖鎖を単糖から二糖へと変更したことに伴う反応効率低下程度が予想以上に大きく、側鎖二価型糖鎖高分子の精密合成ができていない。そのため、目的とするオリゴ糖模倣機能評価が当初の研究完了年度である2023年度内にできていないことから、研究進捗が遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
二糖を用いた重合後修飾反応においても単糖の場合と同程度のチオラクトンプレポリマーへ分子導入することを目指す。具体的にはリンカーを用いて糖から離れた位置に反応性官能基を有する二糖誘導体を導入分子とすることや、温度や濃度等の反応条件の検討により、定量的な合成法の確立を目指し、併せて機能評価も実施していく。
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