研究課題/領域番号 |
21K05191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
大塚 恵子 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究フェロー (50416286)
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研究分担者 |
渡瀬 星児 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究部長 (60416336)
中村 優志 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (70783322)
伊藤 盛通 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (50712931)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ポリロタキサン / ネットワークポリマー / 低誘電性 / 高耐熱性 / 強靭性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、実用化が急速に進められている第5世代移動通信システム(5G通信)で使用される電子デバイス材料には、低誘電性だけではなく靭性と耐熱性にも優れた材料が要求されており、高耐熱ビスマレイミド樹脂が注目されている。本研究では、ビスマレイミド樹脂に低誘電性に寄与する構造を導入し、ポリロタキサンをビスマレイミド樹脂の靭性改質ポリマーとして用いて、新規な強靭かつ高耐熱な低誘電ビスマレイミド樹脂を開発することを目的とする。本研究の遂行により、5G通信で使用される高周波対応材料としての展開が大きく期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、低誘電構造を組み込んだ熱硬化性樹脂をポリロタキサンで変性した場合のポリロタキサンの構造や硬化条件と物性との関係を明らかにすることで、強靭かつ高耐熱な低誘電材料を開発することを目的とする。 本年度は、低誘電かつ高耐熱性を示すマレイミド樹脂の探索を行った。一般に、分極構造を有する動きやすい分子で構成された材料は誘電特性が悪化することから、低誘電性を示す材料設計には、分子の分極率が小さく、分子運動性の小さい構造が必要とされる。低誘電性を示す構造として、主鎖骨格を剛直にすることで分子の運動性を減らす目的で、ビフェニル骨格をマレイミド樹脂に導入した場合、10GHzにおける誘電率2.9、誘電正接0.006、ガラス転移温度217℃を示した。主鎖骨格に低極性である長鎖脂肪構造を導入した場合には、10GHzにおける誘電率3.0、誘電正接0.007、ガラス転移温度200℃を示した。一方、側鎖に長鎖脂肪構造を導入した場合には、低誘電性を示すものの目標とする200℃以上のガラス転移温度を示すには至らなかった。 低誘電かつ高耐熱性を示すマレイミド樹脂の靭性向上のための改質ポリマーとしてポリロタキサンを用いた。ポリロタキサンは、軸高分子がポリエチレングリコール、環状高分子がポリカプロラクトンをグラフトしたシクロデキストリンであり、その末端の水酸基の一部がシクロヘキシル基、またはメタクリル基であるものを用いた。主鎖にビフェニル骨格を有するマレイミド樹脂の場合、いずれのポリロタキサンとも相溶性が悪く硬化物を得ることができなかった。また、主鎖に長鎖脂肪構造を導入した場合には、未変性樹脂と比較して靭性の向上が認められたが、ガラス転移温度が低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高耐熱かつ低誘電性を示すマレイミド樹脂にポリロタキサンを配合するための配合条件や硬化条件の最適化に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、主鎖に長鎖脂肪構造を有するマレイミド樹脂をベースとして、低誘電で高耐熱なマレイミド系ポリマーアロイを用いる。このポリマーアロイにポリロタキサンを配合した場合の誘電性や靭性、耐熱性に優れた硬化物物性を示す配合条件や硬化条件の最適化を行う。既に予備実験において、低誘電かつ高耐熱性を示すポリマーアロイを見出している。
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