研究課題/領域番号 |
21K05211
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 裕也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (90700154)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ブレイクジャンクション / 分子素子 / 分子ダイオード / ルテニウム錯体 / 非対称分子 / 分子ワイヤー / ルテニウム / 分子エレクトロニクス / 分子ジャンクション / 有機金属錯体 / 非対称 |
研究開始時の研究の概要 |
電極―分子―電極構造は分子ジャンクションと呼ばれ分子デバイスの基本構造です.高次機能を持つ分子ジャンクションとして本研究では、分子ワイヤーの非対称化に着目しました.非対称化することで整流機能の発現が期待されますが、安定かつ堅牢な分子―電極界面 (分子接合) 構造の確立が必須です.本研究では有機金属錯体の配位子を分子接合構造安定化部位として機能させる新たな分子設計を基に,このような安定な非対称性分子ジャンクションを開発することを目的とします.
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研究実績の概要 |
電極―分子―電極構造は分子ジャンクションと呼ばれ分子デバイスの基本構造であり、分子ジャンクションの機能開発をすることで高機能な分子デバイス開発が 進展することが期待される.これまでに高い構造対称性を有する有機分子ワイヤーに関して広く研究が行われてきた. 一方、我々は有機分子ワイヤーに金属錯体 をドーピングした有機金属分子ワイヤーが高い伝導性を示すことを明らかとしてきた.今回、高次機能を持つ分子ジャンクションとして分子ワイヤーの非対称化に着目した.分子ワイヤーを非対称化することで電流が流れる方向を制御する整流機能の発現が期待される.本研究では有機金属錯体のうち異なる配位子を持つ,非対称性分子ワイヤーを開発しその機能を検証することを目的とした. 本年度は、主鎖が非対称となった分子ワイヤーの基礎物性と単分子電気伝導度を行なった.UV-visスペクトルおよび電気化学的計測の結果、非対称な側鎖を持つ分子ワイヤーは、対称な側鎖を持つ分子ワイヤーのそれぞれ中間的な性質を示すことが明らかとなった。またこの結果はDFT計算の結果とも良い一致を示した。一方、アンカーとしてピリジンとチオアニソールを持つ非対称側鎖の単分子電気伝導度計測を操作型電子顕微鏡ブレイクジャンクション計測を行ったところ、ピリジンアンカーを持つ分子ワイヤーに近い伝導度を示した。今後、非平衡グリーン関数法を用いた伝導状態の解析を行いこの理由について明らかとする。また予備的ながらI-V測定の計測を開始した。高電圧側で生じるノイズ解消が課題となっており、次年度以降に引き続き検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、非対称分子の合成と基礎物性、単分子電気伝導度に関して知見を得ることに成功した。また関連する研究について国際学術論文を4報、国内解説論文1報を報告した。以上のことから研究に関して概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
合成した非対称分子の物性開拓を目的に研究を進める。本年度に続き各種非対称分子ワイヤーの単分子電気伝導度計測を行い、計算化学による伝導状態の性質調査を行う。I-V測定についてはスイープ時のノイズ解消に関する検討を行い、もしこれが解決できない場合にはバイアス電圧を変化させ電気伝導度を計測する。以上の結果がまとまり次第、学会発表ならびに国際学術論文への投稿を進める予定である。
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