研究課題/領域番号 |
21K05215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
前田 壮志 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90507956)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 近赤外 / 機能性色素 / 中間開殻性 / 二光子吸収 / 反強磁性相互作用 / ジラジカロイド / 励起子相互作用 / ポリメチン色素 / 開殻性 / 磁気的双安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの物質に対して透明である近赤外光を吸収する有機材料は,近赤外テクノロジーによる技術革新に不可欠である.本研究では開殻分子に向けた分子設計を巧みに適用した近赤外有機材料の新機軸設計法を確立し,堅牢な近赤外有機材料群を創製することを目的とする.得られる分子群は近赤外光吸収能のみならず電子スピンに起因した分子磁性を示す.これら物性に関わる材料応用を指向して,分子レベルの研究を分子集積系へと発展させ,集積構造が光学特性,分子磁性,有機半導体特性に及ぼす効果を明らかにする.これら分子レベルと分子集積レベルでの階層的研究から,開殻性に基づく近赤外有機材料の学理を構築し,その有効性と制限を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究では,近赤外線(NIR)に関する技術革新に資するNIR吸収有機材料を創製することを目的として,(1)閉殻一重項と開殻一重項の中間状態にあるπ共役系分子の創製,(2)得られた中間開殻性分子群の構造―物性相関の解明,(3)分子集積体の磁気特性および有機半導体への展開,に関する課題に取り組んだ。2年度目までに,1000 nmを超える領域に強い吸収を示す多様なNIR吸収クロコナイン(CR)色素およびスクアレン(SQ)の合成に成功し,分子構造が中間開殻性や電子遷移エネルギーに及ぼす効果を明らかにしており,計画(1)と(2)を概ね完了した。最終年度である2023年度には,NIR吸収色素のコンフォメーション変化と中間開殻性の相関と,計画(3)にあたる中間開殻性NIR吸収色素の非線形光学特性,磁気特性,半導体特性に関して検討を行った. 初年度に開発した中間開殻性SQ色素群はシス-トランス異性体の混合物として単離されていた.シス-トランス異性化の活性化障壁は,ジラジカル構造の寄与が高くなれば低下することが判明した.一方,中間開殻性CR色素群は二光子吸収特性を示し,二光子吸収の遷移エネルギーと中間開殻性に相関がみられた.また,いくつかのCR色素は結晶―結晶および結晶-液体相転移を示し,相転移に伴って磁化率が劇的に変化することが判明した.このように本研究では,これまで閉殻分子として捉えられていたSQ色素やCR色素はジラジカル構造の寄与をもつことを示すとともに,ジラジカル構造が分子構造変化や固体物性に深く関わっていることを明示した. 一方,中間開殻性CR色素を用いて薄膜トランジスタを作製して評価したが,それらは優れた半導体特性を示さなかった.これは,CR色素薄膜の形成に問題があると見られ,その改善が課題として残された.
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