研究課題/領域番号 |
21K05217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
酒井 平祐 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (30580401)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 有機半導体 / 有機電界効果トランジスタ / 溶液プロセス / 有機電界効果トランジスター / 有機トランジスタ |
研究開始時の研究の概要 |
有機薄膜トランジスタ(OTFT)は5 V程度の低電圧での駆動が実現している。同時に素子性能を示す指標の一つである移動度の改善も進んでいる。例えばブレードを用いた溶液せん断法にて半導体単結晶を製膜し、OTFTの活性層とすると1 cm^2/Vsを超えるような性能で駆動する。この方法では材料の利用効率が悪く、必要な箇所にピンポイントで製膜することができないという問題がある。この問題を解決するために、本研究では結晶性の高い有機半導体の薄膜がOTFTの活性層近傍にのみ形成されるような成膜法を開発し、OTFTへと応用する高移動度なOTFTの駆動へと応用する研究に取り組む。
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研究実績の概要 |
本年度の研究計画では、年度内に取り組む内容は①有機半導体薄膜の細線を描き、膜質改善を目指して製膜条件を改善すること、②製膜の自動化へ向けた装置の検討すること、③OTFTを作製し、特性を評価することであった。 以下に結果の概要をまとめる。実験①製膜条件を改善した結果、OTFTに応用できるような製膜に成功した。この結果については、特許として出願済みである。現在、論文などの報告も準備を進めている。実験②については、自動でステージが動くような製膜装置の設計について検討を進めている。実際に、この実験にも使えるようなステージを有する装置を作製した。この成果をもとに、本研究の製膜装置の作製へとフィードバックをする予定である。実験③については、一般的な絶縁層を用いたOTFTの性能は、溶液による半導体層製膜法として一般的なスピンコート法を用いて半導体層を成膜したOTFTと比べても遜色ないOTFTの動作特性が得られている。 加えて、スピンコート法では溶液プロセスによる半導体の製膜が極めて困難な撥水性の絶縁層上へも、本研究による製膜法を使うと、製膜可能であることを見出した。実際にこの方法を用いて半導体層を成膜し、OTFTを作製したところ、素子の駆動に成功した。この方法を用いると、チャネル部に半導体の結晶が成膜できていることが確認できている。比較用として、同じ絶縁層状へスピンコート法によって半導体層を作製しても、素子は駆動しなかった。さらに、チャネル部には半導体層が製膜されていなかった。撥水性の絶縁層を用いているため、スピンコートを用いた溶液プロセスで成膜しても、膜ができないのは妥当な結果である。この結果についても、論文の準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究概要に示した通り、研究は計画通り順調に進んでいる。着実に成果に繋がる結果も得られており、特許も出願することができた。論文についても準備を進めている。 加えて、研究計画書の準備段階では予期できていなかった、撥水性絶縁層の上にも半導体層を製膜可能であることを見出すことができた。 このように、研究の進捗に加えて、新たな知見を見出すことができているため、上記のような進捗状況区分であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現段階では、研究計画に則って順調に研究が進んでいる。本研究のコンセプトに基づく製膜法を使ったOTFTの駆動には成功し、作製した性能も安定しつつある。次年度は、これらの知見をもとに、センサへの応用展開を進めて行く予定である。 さらに、撥水性絶縁層の上にも半導体層を製膜可能であることを見出すことができたため、これは製膜のメカニズム解明に繋がる知見であると考えている。さらに、大気中でOTFTを駆動させるときの安定化にも繋がると考えられる。これらの点をさらに深掘りすることで、当該研究の質を高めていきたい。 その他の点については、順調に進んでいるため、計画書に記した研究計画に則って、研究活動を進めていく予定である。
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