研究課題/領域番号 |
21K05224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
高嶋 敏宏 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60644937)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 人工光合成 / 光触媒 / ナノ構造 / 配位化合物 / プルシアンブルー |
研究開始時の研究の概要 |
2種類の光触媒とそれらをつなぐ固体導電層からなる全固体Z-スキーム光反応系では、接合構造の制御が光触媒間の電荷授受効率ひいてはZ-スキーム全体の光反応活性に極めて大きな影響を与える。しかしながら、3種類以上の無機化合物ナノ粒子の配置を制御する手法は現在、材料の種類や用途を問わず一般的に確立されていない。そこで本研究では固体導電層として配位化合物を利用することに着目し、光触媒と導電層間の接合に化学的な結合生成を伴う能動的な制御を施し、酸化反応サイトから還元反応サイトまでの効率的な電子移動に有利な構造を持つ反応系を開発し、高効率な光‐化学エネルギー変換を実現することを目的とする。
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研究実績の概要 |
光触媒を利用した光-化学エネルギー変換の実現に向けて、本研究では2種類の光触媒と導電性材料を接合させた全固体型二段階励起光反応系の開発を行っている。この上で特に、本研究では光触媒間での電子移動を担う導電性材料を位置選択的に配置することならびに導電性材料に利用できるものとして配位化合物が従来用いられてきた金属やグラフェンなどに加えて候補となることを示すことを目指して研究を進めており、初年度は構成金属イオンや酸化還元電位の設計自由度の高さならびに表面への化学修飾が可能であることを背景に配位化合物として利用することを決定した。これを背景に、今年度はプルシアンブルー類縁体を担持した光触媒による光反応および全固体型二段階励起光反応系の構築に向けた光触媒表面の化学的特性の制御ならびに接合の検討を進めた。この結果、プルシアンブルー類縁体を担持した光触媒による光反応では犠牲剤の存在する半反応条件下においてプルシアンブルーの存在により水素ならびに酸素の発生速度が増加し、光水分解に向けて光触媒とプルシアンブルー間での電子移動が有効に機能することを確認した。また、これに付随して行った検討により、プルシアンブルー担持は窒素還元による光アンモニア合成にも効果的であることを見出した。また、接合に向けた光触媒表面の化学的特性の制御では、対象光触媒の表面にシラン化合物等を反応させ目的官能基の修飾を行った。さらに作製した光触媒は分光測定やゼータ電位測定などによる表面化学特性の検討を行い、来年度の接合試料作製に向けて基盤となる知見を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は申請時の研究実施計画に基づき、接合に用いる配位化合物として選定したプルシアンブルーを担持した光触媒の光反応特性ならびに接合に向けた表面化学特性の検討を行った。その結果、プルシアンブルーを担持した光触媒では電荷分離が促進され、光励起電子および正孔が光触媒から効率的に系外へと排出されることで半反応条件下における水素発生速度ならびに酸素発生速度が向上することを見出した。また、全固体型二段階励起光反応系の構築に向けた表面化学特性の制御では光触媒表面の水酸基あるいは金属イオンの反応を利用して目的化合物を修飾することに成功した。作製した試料は分光測定およびゼータ電位測定などによる解析を順次進めており、次年度に全固体型二段階励起光反応系を作製するための基盤となる知見が得られていると考えている。以上より、現在まで本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在までに得られた成果を基に、3種類の粒子配列を制御した全固体型二段階励起光反応系の構築手法の開発を進めていく。具体的には導電層としてプルシアンブルーを担持した水素発生光触媒と分子修飾により表面化学特性を制御した酸素発生光触媒を用いての接合による全固体型二段階励起光反応系の作製を目指す。そして、これを用いた光水分解特性評価ならびに接合状態の解析を行っていく予定である。
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