研究課題/領域番号 |
21K05252
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
高橋 雅也 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究フェロー (90416363)
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研究分担者 |
山本 真理 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (20416332)
加藤 敦隆 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (40826161)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 全固体電池 / 固体電解質 / 柔軟 / 酸化物 / 酸化物固体電解質 / 低温焼結 / シート電池 / 界面構築 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化物系固体電解質は非常に硬く密着性に乏しいため、プレス成型だけではイオン伝導パスの構築が困難である。本研究は、柔らかい固体電解質の作製方法として、層状化合物やクライオミルを用いた全く異なる2種類の手法で酸化物系固体電解質を創成し、低温焼結の可能性を検証するとともに、スラリー塗工法による電解質のシート化、活物質との複合体のシート化を行い、酸化物系全固体電池のシート化に適した界面構築を図る。
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研究実績の概要 |
Li7-xLa3Zr2AlxO12(LLZ)酸化物系固体電解質は、伝導度は高いが硬く、プレス成型のみでは粒子間が点接触となり粒界抵抗が大きい。イオン伝導性と可塑性を示すLi2OHBrをLLZと複合化させ、粒界抵抗の小さい複合電解質や酸化物全固体電池を構築した。 Li2OHBr は、LiOHとLiBrをへプタン共存下でメカノケミカル法により合成した。これと LLZ をボールミルで混合し、333MPa で5分間 一軸プレスすることでLi2OHBr/LLZ粉末成形体を得た。また、正極活物質(LiFePO4)、導電助剤(AB)を、Li2OHBr/LLZ複合体と混合することで正極複合体を作製し、固体電解質層(Li2OHBr/LLZ 複合体)、対極層(In-Li箔)とともに積層し、室温でプレス成型することでバルク形全固体電池ハーフセル(In-Li / Li2OHBr-LLZ / LiFePO4)を構築した。このセルを 60℃の恒温槽に設置し、充放電試験を行った。 電池は80mAhg-1の高い容量を示した。Al-LLZにLi2OHBr を複合化することで、充放電可能な酸化物系バルク形全固体電池を室温で作製することに成功した。 しかしながら、30℃での容量が低かったため、Li2OHBrの伝導度改善が必要である。そこで、Li2OHBrの合成時に多価カチオン(Mg2+、Al3+)を添加し、伝導度への影響を調べた。 多価カチオンを添加したLi2OHBrの格子定数及び伝導度の変化を調べた結果、Mg2+を0.5%添加した時に格子定数が小さくなり、伝導度が約2倍に高まっていた。Mgの添加効果が認められたが、その増加分はわずかであり、常温で作動させるためには更なる伝導度改善が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
常温一軸プレスだけで、良好な界面を持つLi2OHBr/LLZ固体電解質複合体が形成できた。また同様に、正極活物質(LiFePO4)、導電助剤(AB)を、Li2OHBr/LLZ複合体と混合した正極複合体層も形成できた。これらとLi/In負極シートを常温一軸プレスで積層して得られた酸化物全固体電池は60℃にて作動させることに成功した。常温一軸プレスのみで良好な界面を構築し、酸化物系全固体電池を稼働させることに成功したため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
Li2OHBrの中心アニオンBr-をNO3-、CO32-、BO33-等の酸化物系マクロアニオンやAlH4-等のハライド系マクロアニオンに置換し、中心アニオン表面の電荷密度を下げることでイオンの移動度を高め、伝導度の向上を図る。 (1)マクロアニオン置換により、伝導度、電位窓、ヤング率、融点への影響を調査する。 (2)湿式法でBr-をマクロアニオンで置換することが技術的な課題であるが、想定通りの合成ができない場合はメカニカルアロイング(密閉系)で合成する。 (3)新規電解質を用いて、シート型の全固体電池を常温で作製する。
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