研究課題/領域番号 |
21K05254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小谷 弘明 筑波大学, 数理物質系, 助教 (10610743)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 光触媒 / ハイブリッド / 過酸化水素 / ポルフィリン / ハイブリッド触媒 / 電子移動 / 酸素還元反応 / 光増感剤 / 有機無機ハイブリッド触媒 / 小分子活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
エネルギー問題解決を指向したクリーンかつ持続可能なエネルギー供給を行う人工光合成システムの開発が期待されている。本研究では、半導体光触媒による水から電子を汲み出す光触媒機能と有機分子触媒による選択的な過酸化水素生成や光水素発生を組み合わせた有機・無機ハイブリッド触媒の開発を行う。こうした酸素還元や水素発生などの多電子還元反応は、理想的な分子触媒の設計指針を示すだけでなく、光触媒反応機構を理解する学術的意義も含むため、光化学領域の発展に必要不可欠な基礎的知見を提供できる。
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研究実績の概要 |
半導体光触媒であるTiO2表面上に有機分子触媒としてサドル型歪みを有するドデカフェニルポルフィリン(H2DPP)をカルボン酸リンカーによって化学的修飾をおこなった有機無機ハイブリッド触媒を用いた光触媒的過酸化水素生成反応の開発を行った。有機無機ハイブリッド触媒1 mgを超純水1 mLに分散させ365 nmの紫外線照射を行うと、約1分間の光照射により0.3 mMの過酸化水素生成が観測された。本光触媒反応365 nmの紫外線照射における外部光量子収率は、約10%と決定した。 有機無機ハイブリッド触媒(H4DPP2+@TiO2)を用いた水を電子源とする光過酸化水素発生系では、空気下において365 nmの紫外線照射を行うと、約1分間の光照射により0.3 mMの過酸化水素生成が観測された。図に示す通り、過酸化水素濃度は直線的に増加せず飽和挙動を示しながら一定濃度以上にはならない。実際、過酸化水素を1 mM存在下Ar雰囲気下において有機無機ハイブリッド触媒(H4DPP2+@TiO2)の懸濁水溶液に365 nmの紫外線照射を行うと、過酸化水素濃度は徐々に減少し、0.3 mMで一定となった。これらの結果から、有機無機ハイブリッド触媒では、水の分解による過酸化水素生成と過酸化水素の分解反応が競争して進行していることがわかった。また、水溶液中により酸化されやすいメタノールを添加すると、生成する過酸化水素濃度が上昇することからも、生成物である過酸化水素の分解反応が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市販のTiO2に歪んだポルフィリンを還元触媒として担持することで、ハイブリッド触媒としての機能発現に成功した。TiO2のみや歪んだポルフィリンのみだけでは進行しない光過酸化水素生成が、純水中でハイブリッド触媒に紫外線照射するだけで可能となった。こうしたハイブリッド触媒の設計指針は今後の光触媒開発に向けた知見となる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高い過酸化水素濃度が達成可能なハイブリッド触媒の探索と可視光駆動型の光過酸化水素発生系の構築を目指す。
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