研究課題/領域番号 |
21K05256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西尾 和記 東京工業大学, 物質理工学院, 特任准教授 (60805117)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 全固体Li電池 / 界面抵抗 / 薄膜電池 / 硫化物固体電解質 / 緩衝層 / 全真空プロセス / 清浄界面 / エピタキシャル薄膜 / 高速充放電 / 結晶方位依存性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、全固体リチウム電池の界面抵抗起源解明に向け、清浄な界面を形成できる全真空プロセスシステムとエピタキシャル薄膜作製技術の活用により薄膜型全固体Li電池を作製する。そして、原子レベルで規定されたモデル界面を創成し界面抵抗の定量評価を行う。これにより、硫化物系固体電解質/電極における界面抵抗起源を解明し、この界面に緩衝層を導入することで超低抵抗界面の創成を達成する。作製したモデル界面に対し、透過電子顕微鏡法、X線CTR散乱法、X線吸収分光法などによる界面計測を行い、界面における構造、電子・化学状態と界面抵抗の相関を明らかにする。
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研究実績の概要 |
全固体Li電池を高速充放電させるために、硫化物固体電解質と正極間の界面抵抗起源を解明して低抵抗化することが極めて重要である。本研究では界面抵抗の起源を定量的に探索するために、清浄かつ原子レベルでLiイオン伝導経路が規定された界面構造を有する薄膜型電池を活用した。そして、硫化物固体電解質Li3PS4と様々な正極材料における界面抵抗を定量的に評価した。LiCoO2やLiNi0.8Co0.15Al0.05O2正極に対し、Li3PS4と界面を形成すると、正極側へSの拡散に伴う化学反応層が形成されることを元素分析から確認した。そして、そのような化学反応層の形成に伴い極めて高い界面抵抗を示し、電池動作しなかった。これらの結果から、界面抵抗の起源は化学反応層であることを明らかにした。 また、界面の抵抗起源となる化学反応層の生成は、酸化物固体電解質(Li3PO4)をナノ緩衝層として導入すると抑制できることを明らかにした。この結果、極めて低い界面抵抗(~10 Ohm cm^2)を示し電池が正常に動作できることを見出した。 緩衝層としてよく利用されるLiNbO3にも着目し、その電気伝導度に着目して電池特性との相関を調べた。そして、固体物理の視点にもとづき、電子のエネルギーバンドを考慮することでLiNbO3が緩衝層として機能することを明らかにした。 5 V級正極材料のLiNi0.5Mn1.5O4においても上記の正極らと同様の結果が得られた。Li3PS4とLNMOの間にLi3PO4を緩衝層として導入することで界面抵抗を1/50,000低減して電池動作に成功した。この過程で、30 mA/cm2の電流密度で高速充放電を安定して行うために、Li金属負極側におけるLi3PS4との界面にLi3PO4やPtナノ層を緩衝層として導入することが有効であることを見出した。
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