研究課題/領域番号 |
21K05268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
金丸 周司 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (50376951)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ウイルス様粒子 / ワクチン / ウイルス抗原 / ケージ状タンパク質 / コロナウイルス / 蛋白質ケージ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではフェリチン様蛋白質ケージの三回対称部位にウイルススパイク蛋白質を提示し、ウイルス様粒子(VLP)の作成過程を著しく簡便化するとともにバイオセーフティーレベルを考慮せずにウイルス検出試薬や検出機器の開発を可能とする技術基盤を確立する。具体的には、スパイク蛋白質-ケージ蛋白質からなる融合蛋白質大腸菌内で大量発現し、ケージ蛋白質の持つ自己集合能を利用し細胞内でスパイク蛋白質を提示しVLPを作成する系を構築し「蛋白質ケージVLP」によるウイルス研究の新たな技術となることを実証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ウイルスの検査試薬・ウイルスの構造解析・ワクチン開発等に利用するために高い熱安定性・pH安定性を有する蛋白質ケージ(Scaffold)を用いてウイルス様粒子(VLP)を作成することを目的としている。 モデル分子を用いて大腸菌での発現系の構築と精製法の確立のために必要な技術基盤開発を行いっている。Scaffoldと融合していないウイルスタンパク質(SARS-CoV-2 N-タンパク質)の大腸菌における大量発現・精製に成功し検査試薬の抗原として共同研究者に提供した。 Scaffoldに関しては、緑色蛍光タンパク質をモデル分子としてケージに内包したタンパク質の熱安定性を評価した。その結果より、内包タンパク質はケージの有無により熱安定性に変化は無いと結論した(学会発表済)。 一方VLPに関しては、モデル分子のフラグメント化や大腸菌発現条件の検討、分子シャペロン等の共発現などを行ったが期待する可溶性のVLPは得られていない。 そこで、酵母Pichia pastorisならびにSaccharomyces cerevisiaeを用いた発現系の構築に取り組んでいる。現在までに各々の酵母におけるScaffoldの分泌発現ベクターを大腸菌で構築し、酵母の形質転換体が得られている。分泌発現は確認できていない。 今後は、引き続きVLPの酵母における分泌発現系の構築を進めるとともに、可溶性ウイルスタンパク質を得るための酵母での発現系を構築し、可溶性VLPの構築を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
SARS-Cov2ヌクレオカプシドタンパク質(N-タンパク質)を大腸菌において大量発現し、純度良く精製することができた。この試料をSARS-Cov2検査試薬を開発する研究協力者に供与し、当初の目的の一つである検査試薬の抗原として利用することで検査試薬の開発に大きく貢献した(原著論文発表済)。 VLPに関しては、SARS-Cov2スパイク蛋白質(S蛋白質)をモデルに、大腸菌内での大量発現系を構築し精製を試みた、しかしながらフォールディングの問題で可溶性のVLPは得られていない。そこで、酵母Pichia pastorisやSaccharomyces cerevisiaeを用いた発現系の構築に取り組んでいる。解析対象のVLPが得られていないため、構造解析には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、酵母を用いた発現系でのSARS-Cov2タンパク質VLPの作成と評価を継続するとともに、当初予定していたSARS-Cov2タンパク質以外のウイルスタンパク質を用いたVLPの作成を計画している。また、Scaffoldとして、フェリチン以外の天然ケージ状タンパク質やAlphaFold2等の構造予測ソフトによりデザインされた人工ケージ状タンパク質を用いる計画である。
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