研究課題/領域番号 |
21K05278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
稲垣 賢二 岡山大学, 環境生命科学学域, 特任教授 (80184711)
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研究分担者 |
今田 勝巳 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40346143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | L-リシン酸化酵素 / L-グルタミン酸酸化酵素 / 基質認識機構 / 成熟化機構 / 飽和変異 / X線結晶構造解析 / L-glutamate oxidase / L-lysine oxidase / processing / substrate specificity / biosensor |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では, 高基質特異性のL-アミノ酸酸化酵素に焦点を当て, 遺伝子工学, 進化工学等の生物工学的手法を駆使して, そのユニークな成熟化機構と基質認識機構を明らかにすることを目的とする。数多くの存在が知られているL-アミノ酸酸化酵素の中で際立って厳格な基質特異性を示す放線菌由来のL-グルタミン酸酸化酵素と糸状菌由来のL-リシン酸化酵素という極めてユニークな性質を持つ微生物酵素に焦点を当て, 厳格な基質特異性を示す要因とプロッセシングによる活性化, 安定化の機構を解明する。
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研究実績の概要 |
放線菌L-グルタミン酸酸化酵素(LGOX)は基質特異性が厳格なため,バイオセンサーとして世界的に利用されている。LGOXの特徴である高基質特異性の要因解明のため,リガンド非結合状態のLGOXの構造解析,ドッキングスタディ,変異酵素の構造解析を通じ,活性中心残基の機能解析と役割の考察を行ってきた.その結果活性中心残基の中で,Arg305が鍵残基であることTrp564及びGlu617の3残基が厳格な基質認識に重要であることがわかった.今回より詳細な基質認識機構を明らかにすることを目的として,LGOXと基質L-Gluの複合体と変異酵素E617Q-LGOXのX線結晶構造解析を行い,基質非結合の構造と比較解析した.2段階のカラム精製を行った高純度酵素サンプルを用いて結晶化・構造解析を行った結果,長年未解明であったLGOXの基質複合体構造を明らかにできた.鍵残基のArg305に加え,His312が基質側鎖カルボキシ基と相互作用しており,この2残基が基質の側鎖認識に重要であることがわかった.さらにGlu617とAsp433がArg305と相互作用しており,Arg305の位置を固定していることがわかった. 以上4対の水素結合からなるネットワークが基質結合時に形成されており,厳格な基質認識に寄与していると考えられる.基質非結合の構造と比較したところ,Asp319-Trp327で構成されるループ構造が,基質結合状態では基質ポケットを覆うように移動していることがわかった.これによりLGOXは基質L-Gluを保持しやすく,高い反応性を示していると考えられた.以上の結果より,基質の側鎖認識を担うArg305,His312を含む水素結合ネットワークと,基質ポケットを覆うように移動するループ構造といった構造的特徴が,本酵素のL-Gluに対する厳格な基質特異性と高い反応性をもたらすと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長年未解明であったLGOXの基質複合体の構造解析に成功し,既知のリガンドフリー構造との比較を行った.その結果,LGOXの厳格な基質特異性の要因となる水素結合ネットワークを明らかにした.また,基質の保持に関すると考えられるループ構造の変化を発見した.変異酵素の構造解析にも成功した.LGOX前駆体に関してはいくつかの条件で結晶を取得できたため,今後のX線結晶構造解析が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きLGOX前駆体のX線結晶構造解析を行い,成熟体酵素(PDB ID: 2E1M)と構造比較解析することで,LGOXの活性化及び基質親和性や熱・pH安定性の向上機構を解明する.活性中心残基の一アミノ酸置換で Tyrオキシダーゼへと性質が変化したE617K,F変異LGOXの結晶化,構造解析を進める.
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