研究課題/領域番号 |
21K05285
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
葛西 宏介 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (50400148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | L-アミノ酸オキシダーゼ / 抗菌タンパク質 / 金属配位 / 活性調節 / 複合体形成 / 抗菌 |
研究開始時の研究の概要 |
L-アミノ酸オキシダーゼ(LAAO)は、L-アミノ酸を基質にラジカルを産生して、病原性細菌の菌膜酸化と菌体破壊を引き起こす。その一方で、正常細胞には細胞毒性を示さないことが報告されている。近年、金属を介したLAAO複合体形成と基質結合ドメイン干渉(L-アミノ酸を利用することができない)が予測されており、金属がLAAO活性を調節することが強く推察されている。そこで本研究は、LAAO複合体形成と活性化調節ならびに構造の安定性に金属がどのように関与するのかを詳細に検証し、「生体内分子のLAAOはなぜ細菌特異的な活性を示すのか?」を解明することが目的である。
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研究成果の概要 |
psLAAO1の複合体と金属配位に影響を及ぼす348番ヒスチジン、241番スレオニンならびに406番アスパラギン酸は、変異させることで構造的に不安定となることから、タンパク質の安定化に不可欠なアミノ酸であり、psLAAO1は348番ヒスチジンを介した亜鉛とマグネシウムの配位が明らかとなっていることから、黄色ブドウ球菌で亜鉛が補足されることは、複合体形成に大きな影響を及ぼすことが考えられる。以上より、本研究の仮説であるLAAO複合体から亜鉛を除くと活性型へと変化し、細菌は金属を捕捉することで、知らず知らずのうちにLAAOを活性化させ、金属が外れたLAAOは構造的に不安定となることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
psLAAO1は、エラで粘液とともに分泌され安定な複合体を形成している。エラは呼吸に関わる重要な器官であるが咀嚼した残渣により栄養豊富で細菌が増殖しやすい場所でもあるため、生体防御として抗菌物質を含む粘液を分泌していると考える。psLAAO1は、金属を介した複合体を形成することで安定かつ不活性な状態で、細菌が金属を補足することで単量体となり活性型となっている。一方で、金属が除かれた単量体は構造的に不安定なため速やかに分解される。したがって、他の細胞に影響を与える前に消失していると考える。このpsLAAO1の細菌特異的な抗菌活性は、学術的・医学的にも大変興味深く、医薬品転用も可能となると考える。
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