研究課題/領域番号 |
21K05288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
城所 俊一 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (80195320)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 示差走査熱量測定 / 反応エンタルピー / アミロイド線維 / 会合核依存的伸長モデル / 平衡定数 / 速度定数 / グローバル解析 / アミロイド繊維 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの疾病に関連する、人体での蛋白質のアミロイド線維形成は、蛋白質数分子の会合核の形成が律速過程と考えられているが、未だに会合核形成の機構は解明されていない。本研究では、蛋白質の可逆的会合体(RO)から不可逆的な会合核を形成する過程について、示差走査熱量測定を用いて定量的に評価する。本方法を様々な変異体蛋白質や溶媒条件に用いることで、不可逆的会合核形成過程へのアミノ酸残基や溶媒条件の速度論的効果を明確にし、会合核形成を制御するための知見を蓄積する。これによって、アミロイド関連の疾病に対する革新的な治療法や薬剤開発に貢献することをめざす。
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研究実績の概要 |
項目(1)では、昨年度に引き続きPDZ3の野生型と、RO状態を不安定化したアミノ酸置換体F340Aとを用いて、DSCにより、降温走査とそれに続く昇温走査のみかけの熱容量の差から、ROから会合核形成への不可逆的反応に伴う熱の測定について、DSCによる詳細な検討を行うとともに、低温ショック蛋白質の変性状態に大きな影響を与えるジスルフィド結合の導入とタンデム化変異体の作成を行った。詳細なDSC測定により、DSC測定中に生じる不可逆的な反応によって、溶液中の平衡反応に関係する蛋白質濃度が減少することにより、みかけの速度論的効果が生じていることが強く示唆された。これは、当初計画していた、DSCによる降温走査とそれに連続する昇温走査を差し引くことによって平衡反応の熱の寄与を打消すことは困難なことを示唆している。このため、平衡反応(可逆反応)と不可逆的反応の両方を明示的に取り入れた新しい解析モデルを開発し、複数の走査速度や蛋白質濃度のデータを用いたグローバル解析が必要なことが明らかになった。令和5年度はこの解析法の実現をめざすこととする。項目(2)では、低温ショック蛋白質で、変性状態の構造に大きな変化を与えるアミノ酸置換体として、既に作成した2本の分子内ジスルフィド結合を導入することで高安定化に成功した変異体に更に3本目のジスルフィド結合を導入し、変性状態での疎水相互作用を強めることを試みたが、RO形成は観測されなかった。また、2本のジスルフィド結合を導入した2分子を短いペプチドで結合させたタンデム化変異体を作成し、エントロピー的にRO形成の促進を試みた。この変異体は溶解度が低下したため、RO形成促進の証拠はまだ得られていないが、タンデム化によって一本鎖DNAへの結合性が100倍以上上昇したことを示す実験データを得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
項目(1)の解析法については、DSC測定の際には当初想定していたよりも複雑な反応が生じており、新たな解析モデルの構築が必要不可欠となった。このため、確立した方法を用いて様々な実験条件で評価する項目(3),(4)の段階にはまだ至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、(1)と(2)の研究については、より詳細な研究が必要となったため、これらを令和5年度は重点的に継続して実施するとともに、予定していた(3)作成した変異体の熱測定による評価と(4)pH、塩濃度、糖濃度の速度定数等への影響の評価についても(1)の解析法を確立次第実施する。また、タンデム化することによりDNA分子との結合性が顕著に増加する現象は、蛋白質の会合が核酸など他の生体分子との会合体の形成を引き起こす可能性を示していては基礎および応用研究としても大変興味深いため、可能な範囲で令和5年度にも研究を継続する。
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