研究課題/領域番号 |
21K05293
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
渡邊 善洋 北里大学, 感染制御科学府, 助手 (70823475)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 菌寄生菌 / 抗真菌 / Aspergillus / Candida / 天然物 / microED / Asperigillus / 創薬 / 糸状菌 |
研究開始時の研究の概要 |
深在性真菌症はカビ (真菌) よって引き起こされる致死率の高い日和見感染症であり、近年 罹患者数は増加傾向にある。現在、抗真菌薬として4系統のみが上市されているが多剤耐性 菌の蔓延や全ての原因菌種に有効な薬剤の不在が問題となっている。このため新たな抗真菌 薬の創出は急務である。 申請者は抗真菌薬リード化合物の探索源として菌寄生菌類に着目した。菌寄生菌類は真菌 類を攻撃し、死菌にしてから栄養を吸収することが報告されている。このための菌寄生菌類 からは標的の真菌に対して「広域真菌スペクトルを有し」「既存薬耐性菌に効果のある」 「新規骨格の」抗真菌薬リード化合物の発見が期待できる。
|
研究実績の概要 |
前年度に引き続き抗真菌薬リード化合物の探索を行った。菌寄生菌類をはじめとする微生物培養液7,280サンプルを探索源とし、アスペルギルス・フミガタスおよびカンジダ・アウリスに対する抗真菌活性を指標としたスクリーニングを実施し、125サンプルが通過した。スクリーニング通過サンプルはLC-DAD-ESI-MSによりfrequent hitを含むサンプルを大量培養候補から除外した。7株について大量培養を行い、培養物から抗真菌活性物質の取得を試みた。 抗真菌活性を指標に各種クロマトグラフィを用いて精製を行い、12化合物を抗真菌活性物質として単離に成功した。単離した化合物はESI-MSおよびNMRを用いた構造解析を行い、新規6化合物および既知6化合物の構造を決定・同定することに成功した。菌寄生菌培養物より今年度も新たに2つの新規化合物を取得できた。このうちアスペルギルス・フミガタスの薬剤感受性および耐性株に対してMIC =1-0.5 ug/mL と強い抗真菌活性を示す化合物を見出すことができた。 また、昨年度菌寄生菌培養物より取得した新規化合物について論文投稿し、Journal of general and applied microbiology (JGAM) および Organic & biomolecular chemistry (OBC) にそれぞれ投稿・アクセプトされた。このうちOBCに投稿した化合物についてはmicroEDを用いた絶対立体配置の決定を行った。また、取得した抗真菌活性物質が宿主であるきのこに対して抗真菌活性を示すことを見出し、寄生時に宿主を攻撃するために化合物を生産している可能性を示唆した。本成果について第12回北里化学シンポジウムにて2演題の発表をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請では抗真菌活性を指標に菌寄生菌類をはじめとする微生物培養液から抗真菌薬リード化合を発見することを目的とし、(1) 微生物培養物からの抗真菌活性スクリーニング (10,000サンプル) 、(2) 抗真菌活性物質の発酵生産、単離・構造決定 (30化合物) 、(3) In vitro抗真菌活性スペクトル評価を行う計画である。(1)について本年度は7,280サンプルのスクリーニングの実施、 (2)については12化合物の単離・構造決定に成功した。昨年度とあわせて14,605サンプルのスクリーニング、26化合物の単離・構造決定を達成し、 (1)については達成することができ、(2)についても概ね達成できた。このため研究は順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
申請時の計画通り引き続き(1) 微生物培養物からの抗真菌活性スクリーニング (10,000サンプル) 、(2) 抗真菌活性物質の発酵生産、単離・構造決定 (30化合物) 、(3) In vitro抗真菌活性スペクトル評価を行う。 (1)については目標を達成したが、 (2)についてはより強い抗真菌活性物質を取得するために30化合物以上でも取得が必要だと考えいるため、(1) について最終年度も実施をする予定。取得した化合物について (3) を実施する予定。
|