研究課題/領域番号 |
21K05298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
長谷川 輝明 東洋大学, 生命科学部, 教授 (90423566)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 硫酸化ガラクトース / スルファチド / ガラクトシルセラミド / 糖鎖間相互作用 / ガン転移 / 受精卵 / GM3糖鎖 / Gg3糖鎖 / バクテリアセルロース |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の表面には様々な分子が存在しており、その中には糖鎖を有するセラミドである「スフィンゴ糖脂質」も存在している。このスフィンゴ糖脂質の機能の一つとして、隣に存在する細胞のスフィンゴ糖脂質との間で、スフィンゴ糖脂質同士の接着現象を起こすことが解ってきた。この接着現象は、スフィンゴ糖脂質の糖鎖部分同士の相互作用であり、これは糖鎖間相互作用とよばれている。糖鎖間相互作用はガン転移等にも関与しており、そのメカニズムの解明は医学・薬学分野において非常に重要である。本研究課題では市販のナタデココに糖鎖を導入し、糖修飾ナタデココ同士の接着を利用した糖鎖間相互作用の解析をおこなう。
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研究実績の概要 |
スフィンゴ糖脂質は細胞表面に豊富に存在し、細胞間シグナル伝達、細胞接着、宿主免疫などの生物学的認識プロセスにおいて重要な役割を担っている。例えば神経系の跳躍伝導を誘導するミエリンの形成は、スルファチド(3SGalCer)とガラクトシルセラミド(GalCer)間の強い相互作用により引き起こされており、片方または両方の欠損によって異常な髄鞘形成や様々な分子的・生理的欠陥を示すことが知られている。 2023年度の研究で我々は、3SGalCerとGalCerとの間のCCIsのメカニズムを解明するため、3位もしくは4位にO-硫酸基を導入したガラクトシルアジドを化学合成したのち、末端アルキンを導入したバクテリアセルロース(BC)から構成されるヒドロゲルとカップリングさせることで、各種硫酸化Galを導入したヒドロゲル(BC-3SGalおよびBC-4SGal)を合成した。例えば3位硫酸化ガラクトシルアジドは、あらかじめ合成しておいたガラクトシルアジドのヒドロキシ基をジブチルスズオキシドで活性化した後、硫酸化試薬を加えることで簡単に合成することができたし、4位硫酸化ガラクトシルアジドは、あらかじめ合成しておいたガラクトシルアジドの2,3,6位ヒドロキシ基をベンゾイル基で保護した後に、残った4位ヒドロキシ基を硫酸化し、最終的にベンゾイル基を脱保護することで合成した。水溶液中における3/4-O-硫酸化ガラクトース担持ヒドロゲルの会合挙動を裸眼観察することで、硫酸化ガラクトース間に働く糖鎖間相互作用を評価した。その結果、Ca2+共存下においてガラクトースと3位硫酸化ガラクトースの間に強いCCIsが働くことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で記載した内容通りに研究が進んでおり、これまでの3年間の研究の成果として、2報の原著論文を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
6位硫酸化ガラクトースまたは2位硫酸化ガラクトースで修飾したバクテリアセルロースヒドロゲルを合成する。これまで合成が完了している3位または4位硫酸化ガラクトース修飾ヒドロゲル、さらには硫酸基を持たないタダのガラクトース修飾ヒドロゲルと共に、様々な組み合わせで会合実験を行い、硫酸基の位置が嵌合挙動に及ぼす効果について評価する。これにより、スルファチド-ガラクトシルセラミド間に働く糖鎖間相互作用に及ぼす硫酸基の役割について更に深い知見を得る。さらに、3位硫酸化グルコースや3位硫酸化マンノースで修飾したヒドロゲルも合成し、これらの会合挙動から2位および4位ヒドロキシ基の絶対配座が糖鎖間相互作用に及ぼす影響についても考察する。
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