研究課題/領域番号 |
21K05300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
大島 信子 藤田医科大学, 国際再生医療センター, 講師 (60387694)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ファージディスプレイ / 交差反応性 / 抗体軽鎖 / 交差反応 |
研究開始時の研究の概要 |
重鎖と軽鎖の2本鎖で構成されている抗体による抗原の認識は主として重鎖が担っており、軽鎖は抗原への親和性と抗原抗体反応時の安定性に関与していると考えられている。しかし、軽鎖配列への変異導入または配列そのものの交換などによる抗体改変では、抗原への親和性向上、エピトープ部位や結合活性の変化、さらには認識抗原の変化が報告されている。 本研究では、ファージディスプレイ技術により作製されたヒト抗体ライブラリーから単離された抗体群を基に,抗インフルエンザウイルス抗体の変異ウイルス株に対する交差反応性の変化を指標として抗体軽鎖配列の抗原認識における役割を評価し、抗体改変における軽鎖の可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
ファージディスプレイ技術により作製したファージ抗体ライブラリーでは、1種類の重鎖配列に対し様々な種類の軽鎖配列との組み合わせを持たせることが可能である。本研究者は、ファージディスプレイ技術をもとに作製したファージ抗体ライブラリーから抗インフルエンザウイルス抗体群を取得している。当該研究では、その中から1種類の抗体重鎖配列に対し複数の軽鎖配列の組み合わせを持つ抗体群を抽出し、軽鎖配列の違いによるインフルエンザウイルス株への交差反応性に及ぼす影響を検討する。それにより、抗原認識における軽鎖配列の役割を明らかにすることが目的である。 当該年度では、昨年度までに終了した抗体クローン群の軽鎖配列解析からの分類を引き続き実施した。各重鎖配列に対する軽鎖の組み合わせを、①λ鎖のみ、②κ鎖のみ、③λ鎖、κ鎖両方を指標に分類した。さらに、複数の軽鎖配列との組み合わせ(①変異関係にある配列、②Germline geneの異なる配列)を持つ重鎖配列を抽出した。 その中から、昨年度に引き続き複数のインフルエンザウイルス変異株に反応性を示すクローンを選出した。核タンパクに対する抗体群を除き、ヘマグルチニンに対する反応性を有するクローンを中心に選抜したところ、H3N2型の変異株に比較的幅広い交差反応性を持つ大きな抗体群が得らえた。この抗体群は、2種類のインフルエンザワクチン株を抗原にファージ抗体ライブラリーからのスクリーニングで得られた抗体群で、非常に類似した重鎖配列を持つにも関わらず、複数の変異ウイルス株に対する交差反応性は大きく2種類であった。これらのことから、1種類の重鎖配列に対しλ鎖、κ鎖両方の組み合わせを持ち、その組み合わせにより複数のウイルス株HAに対する反応性が変化している可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、使用していた居室および研究室の急な引っ越し作業を行うことになり、3か月ほど実験ができない期間が生じた。そのため、研究スケジュールの変更を行わざるを得ず、当初予定していた通りに実験が進行せず、予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定よりもやや遅れているものの、研究自体は当初の予定通り進行している。本年度得られた抗体群で、抗体軽鎖によるウイルス株HAへの反応性の変化を検討を中心に行い、さらに、競合実験等によるエピトープ絞り込みまで視野に入れてまとめたいと考えている。
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