研究課題/領域番号 |
21K05304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
友廣 岳則 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (70357581)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | photoaffinity labeling / diazirine / chemical probe |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、多機能を集積した独自の小型光反応基を用いて、生理活性リガンドのターゲットタンパク質同定効率を向上し、さらに結合状態を評価する光アフィニティーラベル法を開拓する。標的タンパク質を多角的に特徴づけすることで、汎用法では対応困難な微小ラベルシグナル特定を効率化する。さらに複数シグナルの同時解析を達成することで、標的同定の信頼性を高めると同時に、複数ラベル部位の位置情報と蛍光によるラベル量情報などに基づく、新たなリガンド結合構造の動的変化を解析する方法への展開を図る。
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研究実績の概要 |
本研究では、多機能を集積した独自の発蛍光性光クロスリンカーを基盤技術として、従来法では困難であった複数のラベルペプチド解析に基づいた標的タンパク質の同定を達成し、同定法としての信頼性を上げるとともに結合構造情報獲得を目的とする。そのため小型で柔軟性のあるアルキル型ジアジリン基を導入した桂皮酸型光クロスリンカーを作製し、そのリガンドプローブによる炭酸脱水酵素ラベルにおいて、ラベル収率の向上と蛍光強度の増強、リガンド相互作用部位近傍アミノ酸残基のラベル化を達成した。しかし、1,2-水素転移などジアジリン光反応の副反応が増加したため、これを抑制するためにトリフルオロメチル置換型アルキルジアジリン誘導体を新たに設計、合成した。このジアジリン誘導体の光クロスリンク反応は340 nm以下のやや低波長領域の光照射を必要としたが、これを導入した桂皮酸ユニットでは、従来反応基と同様に光E-Z異性化を経由したクマリン環化が進行し、発蛍光性/切断特性を示した。続いてエチニル基を有する桂皮酸型光反応基、さらにアジド基を有する桂皮酸型光反応基に誘導し、後述のCuAAC反応に対応可能な各種反応基を作製した。微量のラベルタンパク質解析にはビオチン-アビジンを利用した濃縮精製が必須となる。この目的にはまず小型の化学リポータータグをまず導入し、その後ビオチン基を導入する方法が有効であり、生体直交反応性を示す銅触媒アジド-アルキン環化付加反応(CuAAC)が汎用される。極微量の光ラベルタンパク質を効率よくビオチン化するために、別途、アジド基導入ペプチド銅配位子を開発したところ、そのCuAAC反応速度は大幅に向上した。さらにエチニル基導入ペプチド配位子も作製した。以上、本研究では微量光ラベルタンパク質解析のための基盤技術を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では光ラベル部位解析効率を向上した独自の反応基をさらに改善し、その課題であったラベル収率やラベル部位、解析システムの効率化を目的とした。光ラベルに関する課題に対して開発した新規光クロスリンカーはそのラベル収率などを大きく向上させた。ただし副反応が生じることが判明したため、それを抑制するための新たな改良を加えた光クロスリンカーを設計し、一連の誘導体を合成することができた。一方、解析システムの効率化では、用いるCuAAC反応の更なる高速化に成功し、極微量ラベルタンパク質の解析に対応できるシステムにした。
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今後の研究の推進方策 |
最初に開発した光クロスリンカーにおける課題の克服のために、必要な機能を保持したまま、新たな改良を加えた新規光反応基の合成ルートの検討を行い、複数誘導体を合成した。これにより、新しい光クロスリンカーを用いたタンパク質ラベルの検討は十分ではない。新規ジアジリン誘導体における光反応特性の詳細な解析を進めつつ、タンパク質ラベル解析における効率評価を行う。
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