研究課題/領域番号 |
21K05305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
合田 真 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 研究技術専門職員 (70442960)
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研究分担者 |
内田 千晴 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (60223567)
堀口 涼 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 技術専門職員 (70452969)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 蛍光蛋白質 / ビリン類 / ビリ蛋白質 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な動物の生存戦略に重要な体色・模様の形成には色素などによる光の吸収・散乱・干渉だけでなく自ら光を放つ発光や蛍光なども役立っている。本研究では予備的研究のなかで発見されたカジカ科に属する魚種の蛍光蛋白質について、各種クロマトグラフィーを用いた精製を行い、その構造と機能について解析するとともに発現遺伝子の解析を行うことで、その新規性を明らかにし、新しい蛍光プローブの開発につなげる。
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研究実績の概要 |
動物において、テトラピロールを化学構造に持つビリン類と呼ばれる生体高分子は生体組織に沈着することで青色や緑色の体色を作り出すことがある。多くの動物には、それらビリン類に特異的に結合する蛋白質(ビリ蛋白質)が体内に存在している。さらにビリ蛋白質のなかにはテトラピロールを化学構造に持つ物質との複合体を形成することで蛍光を発するものが存在する。これまでの研究の中で、脊椎動物における蛍光を発するビリ蛋白質は魚類のウナギ科とパーチ科にそれぞれ属する2種からのみ発見されていた。ところが、カジカ科に属する魚種に赤色蛍光を発す蛋白質が存在することが、本研究の予備実験から確認され、その蛋白質が分布すると考えられる生体組織ではビリン類による青色も呈していた。本研究ではこの赤色蛍光蛋白質の構造を決定するとともに、この蛋白質のビリン類に対する結合能や蛍光の特性を解明し、その成果を基盤とした新規蛍光プローブ開発をめざす。 本年度は、数種類の蛋白質まで絞り込まれた標的をさらに各種クロマトグラフィーを用いて解析し、精製を試みた。。陰イオンクロマトグラフィーと疎水性クロマトグラフィーの組み合わせによる精製では、赤色蛍光画分はSDS-PAGEによる確認では、数種類のタンパク質までしか絞り込むことができなかった。そこで、現在、これらの蛋白質の分子量などの情報と、生体組織から抽出したRNAを解析して得られる網羅的な発現蛋白質の情報を併せて解析し、標的蛋白質のアミノ酸配列の同定をめざしている。 今後、研究を推進するためには、精製した蛋白質から様々な情報を得ることが必要であると考えられる。また、本研究の目的の蛍光蛋白質が同定されるまでは、既知の魚類蛍光蛋白質Sandercyaninが存在する可能性についても検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は筋肉抽出液の硫安画分を各種クロマトグラフィーにアプライし、素通り画分とNaClのステップワイズ溶出を行い、各画分の蛍光を測定したところ、溶出画分に赤色蛍光が検出された。さらに、これらの溶出分画についてSDS-PAGEにより分析したところ、赤色蛍光活性がある数種類の蛋白質が検出されたが、それらをさらに分離精製するため、アフィニティークロマトグラフィーやNative-PAGEなどの様々な試みでは成果が得られなかったため、生体組織からRNAを抽出し、そこから筋肉組織での発現蛋白質の網羅的解析を行うこととした。これによりクローニングの作業工程が省略でき、効率的にアミノ酸配列の決定に近づくことができる。ただ、試料であるカジカ科の魚は生体表面に粘液が多く、これが組織からのRNA抽出の際の障害になるため、効率的にRNAを迅速に抽出できる試料作製方法を検討行い、現在、その方法を確立しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、夏季のシーズンに研究対象となる魚種の野外での採集を進め、解析必要な十分量を確保し冷凍保存する。そして保存した試料を用いた赤色蛍光タンパク質の同定を推進していく。現在、アフィニティークロマトグラフィーやNative-PAGEにより標的蛋白質のさらなる精製による各蛍光蛋白質の分子量などの情報収集を行い、さらに多量体形成などの特徴的な性質についても同時に解明を目指す。また一方で、筋肉組織などの生体組織からのRNA精製を効率的に行う方法を確立し、その方法を用いて生体組織で発現されている蛋白質の網羅的な遺伝子解析を行う。これには、RNAseqの外部受託などの利用も検討している。今後は、クローニングの作業工程を省略し、このような精製蛋白質と遺伝子の両面から標的蛋白質の同定を目指す。
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