研究課題/領域番号 |
21K05326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邉 健史 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (60547016)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 鉄酸化細菌 / 水田 |
研究開始時の研究の概要 |
水田土壌中の鉄の酸化還元反応は、土壌中の物質代謝に大きく影響する重要な反応であるが、これまで鉄酸化反応については非生物的な反応が主体と考えられてきた。しかし、近年、Gallionellaceae科の微好気性鉄酸化細菌(以下、鉄酸化細菌)が土壌中の鉄酸化反応に深く関わることが明らかにされた。本研究では、鉄酸化細菌株の鉄酸化活性と水田土壌中での鉄酸化反応に伴う鉄酸化細菌数の変化から、土壌中での鉄酸化ポテンシャルを評価する。また、酸化された鉄と一緒に共沈した細胞などの易分解性有機物が、水田土壌の可給態窒素源の一部を担う可能性を探る。以上より水田土壌中での鉄酸化細菌の潜在的な役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、Gallionellaceae科微好気性鉄酸化細菌(以下、微好気性鉄酸化細菌)の分離菌株を用いた培養実験による鉄酸化活性の評価と、室内での土壌培養実験による微好気性鉄酸化細菌の動態の解析から、水田土壌での微好気性鉄酸化細菌の鉄酸化ポテンシャルを推定することを試みる。本年度は、室内での土壌培養実験の条件を検討した。 先端を閉じた10mL容のガラスシリンジに、風乾した水田土壌(粉末状にした稲わら、またはグルコースを添加)を詰め、30℃で湛水培養して土壌中の鉄を還元させた。その後、先端を開放し落水して鉄を酸化させた。経時的に土壌を採取し、土壌中の活性2価鉄量と微好気性鉄酸化細菌の16S rRNA遺伝子コピー数を定量した。 その結果、落水直後の活性2価鉄量は大きく変化しなかったが、約一週間後より、急激に減少した。微好気性鉄酸化細菌の16S rRNA遺伝子コピー数は、落水後すぐに増加し始めたが、2価鉄量が急激に減少した段階での増加は緩やかであった。以上より、本培養実験により、落水時の微好気性鉄酸化細菌の動態を追跡することが可能であると考えられた。ただし、落水時の2価鉄量の変化のバラツキが大きかったため、今後は、落水前に土壌を混合して均一化するなどの処理が必要と考えられた。 また、当初の計画では、水田土壌から分離した菌株の鉄酸化活性を評価し、その値を用いてポテンシャルを推定する予定であった。しかし、使用した菌体量が少なく、分離菌株の鉄酸化活性を評価することができなかったため、今後、十分な菌体量を得て、鉄酸化活性を評価する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、分離菌株の鉄酸化活性も評価する予定であったが、培養液中の2価鉄濃度を測定方法の検討に時間がかかった。また、十分な菌体量を得ることができず、鉄酸化細菌接種培養液と非接種培養液の間の鉄酸化活性に顕著な違いを見ることができなかった。今後、十分な菌体量を得て、さらに検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
分離菌株の鉄酸化活性については、十分な菌体量を得て実験を行う。 土壌の室内培養実験については、湛水培養中に発生した気泡が、落水時の水の落ち方に影響している可能性があるため、落水時の条件が均一になるように工夫する必要がある。その点について改善した後、温度が鉄酸化ポテンシャルに及ぼす影響や、異なる土壌間での比較などを行うことを検討している。
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