研究課題/領域番号 |
21K05333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
栂根 美佳 基礎生物学研究所, 細胞動態研究部門, 特任研究員 (90625592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 栄養応答 / 窒素栄養 / 側根 / 全身制御 |
研究開始時の研究の概要 |
硝酸による根系成長は根で起こる局所的な反応だけでなく、全身的な硝酸シグナル伝達経路によって制御されている。また、マメ科植物が形成する根粒の数は、根粒菌の感染によって誘導される全身的なシグナル伝達経路で調節されている。 これまで側根と根粒の数は異なる経路で制御されていると考えられてきたが、ミヤコグサは過剰な側根の形成を抑制するのに、根粒数を調節する経路の一部を利用していることが明らかとなった。本研究では、ミヤコグサの側根形成を抑制する硝酸シグナル伝達経路に関わる因子を同定し、植物が環境に応じて、どうのように伝達経路を使い分けているのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
植物は土壌中の窒素栄養の量や分布に応じて根系成長(根の数と伸長)を変化させる。これまでに、シロイヌナズナやマメ科植物など被子植物を用いた研究から、硝酸による根系成長は根で起こる局所的な反応だけでなく、全身的な硝酸シグナル伝達経路によって制御されていることが明らかとなっている。本研究では、全身的な硝酸シグナル伝達経路に関わる分子機構の解明を目的とする。また、植物が進化の過程でどのように全身的シグナル伝達経路を獲得したのかを理解する事を目指す。 被子植物の系成長は硝酸濃度依存的に促進され、高濃度の硝酸によって抑制される。これまでの研究から、全身的な硝酸シグナル伝達経路には地上部で機能するCLV1受容体と、根で発現して地上部へと輸送されるCLEペプチドが関わっていることが明らかにされている。CLEペプチドの発現は硝酸濃度依存的に誘導されるが、その濃度は植物種によって異なっている。コケ植物のゼニゴケ(Marchantia polymorpha)は仮根と呼ばれる器官を発達させるが、これは単細胞の器官であり被子植物の根とは構造が異なる。 これまでに申請者は仮根の伸長が硝酸応答性を示すこと、Tak-1(雄株)がTak-2(雌株)より顕著な仮根伸長応答性を示すことを明らかにした。Tak-1を用いてゼニゴケのCLV1、CLE1、CLE2遺伝子の発現を地上部と仮根でリアルタイムPCRによって比較した。さらに硝酸濃度の異なる培地で生育したTak-1を用いて、硝酸濃度がそれぞれの遺伝子発現に与える影響を調べたところ、CLV1はCLE1、CLE2とは異なる発現パターンを示すことが分かった。次にゼニゴケのclv1変異体、cle1変異体、cle2変異体の仮根伸長と遺伝子発現に硝酸濃度が与える影響を比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19による在宅勤務の影響と一部計画の変更による。また仮根長の測定時期、測定方法及びRNA抽出サンプリング方法等の条件検討に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
被子植物が硝酸を効率的に吸収するメカニズムとして、CLV1-CLEを介した全身制御的な硝酸シグナル伝達機構が知られる。CLV1-CLEは植物進化の過程で保存されているが、コケ植物がその起源であると考えられている。CLE遺伝子はゼニゴケで8遺伝子、シロイヌナズナで32遺伝子同定されている。ゼニゴケにおけるCLV1-CLEを介した硝酸シグナル伝達機構を解明することにより、植物におけるCLV1-CLE伝達機構の普遍性と進化を明らかにすることができる。今後はCLV1受容体とCLE2ペプチドの相互作用に着目して研究を進める予定である。
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