研究課題/領域番号 |
21K05342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清家 泰介 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (80760842)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 野生酵母 / ショウジョウバエ / 多様性 / 進化 / 代謝 / 新種 / 産業利用 / 胞子形成 |
研究開始時の研究の概要 |
酵母を用いた有用物質生産において、近年モデル生物以外の新しい機能を持った酵母の利用も期待されている。しかし、現状では野生酵母の情報は不足しており、産業への展開が遅れている。そこで本研究では、ショウジョウバエが腸管の袋状の器官クロップに微生物を蓄積する性質に注目し、ハエの体内から多様な野生酵母を単離し、有用な酵母を発見することを目的とする。国内の色々な場所から単離できた酵母については、熱やpHなどのストレスへの適応能力や培養中の細胞内外の代謝物量を計測することで、未知の物質を生産するものや特定の代謝経路が強化された酵母を見出す。こうして、野生酵母の情報の提供とさらなる産業への貢献を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は北海道3カ所、秋田、新潟、長野11カ所、山梨13カ所、千葉、東京、滋賀2カ所、京都、大阪、広島5カ所、島根4カ所、福岡、熊本2カ所でショウジョウバエを採集した。加えて長野、山梨、沖縄で植物や土壌を集めて、これらのサンプルから野生酵母を単離した。結果としてこれまでに63属187種 (うち新種酵母11種) を得ることができた。そのうちアミノ酸要求性がなく培養しやすい171株を選び、これらの酵母株についてD-Xylose, L-Arabinose, Methanolの資化能、高温・低温、高pH・低pH、塩耐性、酸耐性、アルコール耐性、嫌気条件での増殖能を調べた。また合成培地SD培地での回分培養により、24, 48時間後に培地を回収してHPLC (島津Prominence) によりグルコースの消費量とエタノールの生産量 (および副産物であるグリセロール、酢酸の量) を定量した。さらにいくつかの酵母株をSD培地で培養し、対数増殖期・定常期でのメタボローム分析を行った。メタノール・クロロホルム・水法で代謝物を抽出し、およそ70種の親水性代謝物をLC-MS/MS (島津LCMS8060NX) で定量した。これらの結果を階層的クラスタリングにより情報学的に解析し、株間で細胞内代謝物量の蓄積に違いがあることが分かり、酵母の科レベルでの特徴や酵母全体としての表現型・代謝の特徴を捉えることができた。 この数年間で得られた新種酵母については、そのうち5種を新種酵母として論文の執筆を進めている。Wickerhamiella属の新種は2023年論文が出版され、Wickerhamiella bidentis sp. nov.として認定された。引き続き、酵母ライブラリの拡充を目指し、野生酵母の潜在能力について評価していく予定である。
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