• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

グルコースによる糖代謝酵素のタンパク質Argリン酸化制御機構とその意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05349
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38020:応用微生物学関連
研究機関東海大学

研究代表者

小倉 光雄  東海大学, 海洋研究所, 教授 (80204163)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードマンガンイオン / イオン輸送 / 遺伝子発現制御 / 転写因子 / マンガンイオン輸送 / RNA-seq解析 / DNA結合 / 転写制御 / グルコース / リン酸化Arg / 細胞内Mn2+濃度 / ピルビン酸脱水素酵素 / リン酸化Arg脱リン酸化酵素
研究開始時の研究の概要

グルコースを分解する解糖系酵素の活性制御は、必要なエネルギーを低コストで獲得すると生存競争で有利になることから、多くの細菌にとって重要である。グラム陽性菌のモデル細菌として研究が蓄積している枯草菌で、グルコースが誘導する解糖系酵素タンパク質を分解から守るためのシステムが新たに見出された。そのシステムの本質は、タンパク質が翻訳された後に特定の部位(アルギニン)がリン酸化されることが引き金になり、タンパク質を分解へと導く翻訳後修飾と呼ばれる仕組みをグルコースが阻害することである。本研究でその詳細な分子メカニズムを明らかにする。

研究実績の概要

報告者は、転写因子AhrCによって制御されるMnインポーターYcsGをコードする遺伝子を同定した。ycsGの発現はMntRによっても制御されている事を確認した。YcsGは7つのORFからなるオペロンに存在する。このオペロン内の2つの遺伝子は1997年に、胞子形成の制御遺伝子kipIと、このオペロンの発現を抑制する転写因子kipRとして同定され、オペロンの発現はグルコースによって誘導され、転写因子TnrAによってさらに活性化されることも判明した。さらにゲノムワイド解析により、グローバルな窒素代謝制御因子TnrAによるこのオペロンの制御も判明した。しかし2017年に、kipIを含むこのオペロンに含まれる3つの遺伝子が、グルタミン酸代謝に関与する5-オキソプロリナーゼのサブユニットであることが示されたが、ycsGの機能はまだ不明だった。本研究で、このオペロンのプロモーターPpxpAのMn添加による誘導が観察された。Mn依存的な誘導を種々の変異株を用いて発現解析し、Mn誘導の原因となる転写因子としてKipRを同定した。結果として、PpxpAのMn応答は、MntR、TnrA、KipRによって媒介されることが判明した。TnrA依存的なMn応答は他のグループにより報告されていて、そのメカニズムは以下のように推察されている。TnrAはグルタミンによってフィードバック阻害されたグルタミン合成酵素と結合し、その結果TnrAを阻害する。 グルタミン合成酵素のMn型はMg型よりもグルタミンによる阻害に強く、その結果TnrA活性の阻害が少ない。枯草菌のKipRの特性はよくわかっていないが、Thermotoga maritimaのKipRホモログの結晶構造から亜鉛の結合が明らかになった。枯草菌KipRの金属結合の可能性は、KipRによるMn依存的なオペロン制御に関係しているのかもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の目標であったYcsGを含むオペロンの発現制御とMnイオン応答性について、ある程度の進捗を見ることができた。

今後の研究の推進方策

そもそも、本研究の目的におけるグルコース誘導は、カタボライト制御のマスター遺伝子CcpAに依存せず、最近まで機能が不明であったylxR遺伝子を含むものであった。報告者は、YlxRの非特異的なDNA結合を観察し、いわゆるNucleoid-associated proteinとしてYlxRが遺伝子発現を制御する事を想定していた。最近、ドイツのグループがYlxRはtRNAの成熟化に必要な核酸分解酵素RNasePにタンパク質相互作用を通じて結合し、その活性を負に制御している事を報告した。そこで、YlxRの遺伝子発現制御メカニズムにRNasePが関係しているかどうかを調べる予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Glucose controls manganese homeostasis through transcription factors regulating known and newly identified manganese transporter genes in Bacillus subtilis2023

    • 著者名/発表者名
      Ogura M., Matsutani M., Asai K., Suzuki M.
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 299 号: 8 ページ: 105069-105069

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.105069

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification of transposon-inserted mutations including rnpB:: Tn that abolished glucose induction of sigX encoding extracytoplasmic function-sigma factor in Bacillus subtilis2022

    • 著者名/発表者名
      Mitsuo Ogura
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 86 号: 2 ページ: 282-285

    • DOI

      10.1093/bbb/zbab211

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] RNA-seq analysis identified glucose-responsive genes and YqfO as a global regulator in Bacillus subtilis2021

    • 著者名/発表者名
      Yu Kanesaki, Mitsuo Ogura
    • 雑誌名

      BMC research notes

      巻: 14 号: 1 ページ: 450-450

    • DOI

      10.1186/s13104-021-05869-1

    • NAID

      120007180348

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Regulatory mechanism of the operon containing genes encoding 5-oxoprolinase and manganese importer2023

    • 著者名/発表者名
      Ogura M
    • 学会等名
      BACELL 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 枯草菌でグルコースはArg代謝系制御因子AhrC依存的に細胞内Mn濃度を上昇させる2023

    • 著者名/発表者名
      小倉 光雄、松谷 峰ノ介、朝井 計、鈴木 道生
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023広島大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 枯草菌でグルコースはArg生合成系制御因子AhrC依存的に細胞内Mn2+濃度を上昇させる2022

    • 著者名/発表者名
      小倉光雄、松谷峰ノ介、朝井計、鈴木道生
    • 学会等名
      日本ゲノム微生物学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] 小倉 光雄 | 教員・研究者ガイド | 東海大学

    • URL

      https://www.u-tokai.ac.jp/facultyguide/faculty/2239/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi