研究課題/領域番号 |
21K05364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 拓哉 京都大学, 化学研究所, 助教 (40756318)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高度不飽和脂肪酸 / エイコサペンタエン酸 / ドコサヘキサエン酸 / β酸化 / ω-3高度不飽和脂肪酸 / 微生物変換 / β-酸化酵素 / タンパク質間相互作用 / β-酸化 / 転写調節 / 生物変換 / 海洋性細菌 / β酸化酵素 / リン脂質アシル基転移酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
EPA生産菌S. livingstonensis Ac10に見出された新奇のDHA-EPA変換能について、関連する代謝酵素がどのように協同して本変換を達成するのか、また、これらの酵素遺伝子がどのようにDHAの存在に応答して発現するのか、といった分子メカニズムを遺伝子の変異解析や生化学的な解析を通して明らかにする。また、得られた知見を活用して、本菌のEPA/DHA代謝を改変して遊離EPA生産系の開発を試みる。
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研究実績の概要 |
一般的に細菌は高度不飽和脂肪酸 (PUFA) をつくらないが、一部の海洋性細菌はエイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) といったω-3 PUFAを生産する。これらの細菌におけるPUFA生合成の理解は進んでいるが、一方で、分解や変換といった他の代謝経路については未解明な点が多い。PUFA生産菌の新しい産業利用価値を探るため、本研究ではEPA生産性細菌Shewanella livingstonensis Ac10に見出したDHA-EPA変換機構の解明に取り組んだ。我々はこれまでに、脂肪酸のβ酸化を担うFad酵素群がDHAからEPAへの変換に関わることを発見したが、Fad酵素がDHAを完全分解するのではなく、β酸化を1サイクルだけ進めEPAを生じる分子機序は未解明であった。可能性の1つとしてFad酵素とリン脂質合成酵素PlsC1の間の相互作用が重要であると仮定し、本年度はその分析に向けて準備を進めた。具体的には、Ac10ゲノムのplsC1にHisタグ、fadAにHAタグをコードする配列を付加した株を作製し、それらの生育や脂質生産が正常であることを確認した。現在、これらの株を用いた免疫沈降実験のための条件検討を進めている。これと並行して、大腸菌Escherichia coliを宿主とした相互作用分析に向けて、Fad酵素の発現系を作製した (PlsC1の発現系は過去に作製済)。今後、これを利用したプルダウン実験も進める。 また、有用物質生産系構築の一環として、Shewanella vesiculosa HM13のフラン脂肪酸 (FuFA) の遺伝子を取得し、組換え発現系を作製した。E. coliを用いて分析した結果、FuFAの生産は見られず、生合成中間体がわずかに蓄積していた。現在、変異導入によりFuFAの生産性向上が可能か検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出産・育児への参加や学生数の減少のため本研究に従事する十分な時間を確保できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Ac10のFad酵素とPlsC1との相互作用を分析する。本年度に作製した各種株を利用して免疫沈降、プルダウン実験を計画しており、反応時間や架橋剤の添加といった反応条件を最適化して相互作用を検証する。FuFA生産系に関しては、FuFA合成酵素の基質認識が原因であると考えられるため、これに関わるアミノ酸残基を立体構造モデルから推定し変異導入することを計画している。また、Fu FA合成酵素のホモログである、E. coliのシクロプロパン脂肪酸合成酵素を改変してFuFA合成に利用することも計画している。
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