研究課題/領域番号 |
21K05365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤江 誠 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (20274110)
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研究分担者 |
川崎 健 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 助教 (00510299)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | Nannochloropsis / バイオ燃料 / ゲノム編集 / carbonic anhydrase / Crispr-Cas9 / クリソラミナリン / RNP / 微細藻類 / 代謝機能 |
研究開始時の研究の概要 |
微細藻類によるバイオ燃料生産の実用化には、増殖特性や脂質の生産性に優れた藻類株の分子育種が基盤技術として必要である。生産現場では解放系での培養となるため、組換えDNA技術を用いない育種技術が必要である。本研究は、代表的な油脂生産藻類であるナンノクロロプシス類(Nannochloropsis)の代謝機能を超効率化するために、(1) CO2濃縮機構の改変による高濃度CO2耐性株の創出、 (2) ジーンタギングによる脂質合成系遺伝子群の網羅的検出と機能解析、 (3)ナンノクロロプシスにおける組換えDNA技術を用いないゲノム編集システムの確立、を目標とする。
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研究実績の概要 |
(1)「Carbonic Anhydrase、BiCarbonate Transporterの各遺伝子をゲノム編集で逐次破壊し、 光合成能力と増殖特性の変化を解析する。」 ゲノム編集により、CA2遺伝子の破壊株、及び、CA3遺伝子の1アミノ酸置換変異株を取得した。これらの株の増殖状況を解析したところ、CA3遺伝子の変異株は高濃度のCO2通気に対して明確な耐性を示した。CA2遺伝子破壊株は、高CO2条件で、野生株よりも若干増殖能力が高かった。BiCarbonate Transporterに代えてC代謝のsink側に位置するUDP-Glucose合成遺伝子の破壊を試み、2種類のUDP-Glucose合成遺伝子をゲノム編集で破壊した。 (2)「 マイクロプレートによる培養系と培養液の細胞中の脂質を蛍光プレートリーダーで高速定量する実験系の確立とタギングライブラリーの構築 」 マイクロプレートによるナンノクロロプシスの培養系、タギングライブラリーの構築は2021年度で実現した。細胞中の脂質を染色する実験系は、個々の株レベルでは構築に成功した。 (3)「ゲノム編集株をポジティブセレクションす るためのマーカー遺伝子としてorotidine-5-phosphate decarboxylaseを検証する。」 FOAによるポジティブセレクションを可能とするorotidine-5-phosphate decarboxylase及び、2-FAによるポジティブセレクションを可能とするアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)の破壊を試みた。ゲノム編集用プラスミドを導入し制限濃度の薬剤を加えた培地で選抜したところ通常よりも長期間の培養で、FOAや2-FAに耐性のコロニーが出現した。しかし、これらの株ではゲノム編集は確認されていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)carbonic anhydraseについては、高濃度の二酸化炭素に明確な耐性を示す、興味深い変異体の取得に成功し、予定通り進捗している。 (2)マイクロプレートを用いた脂質蓄積に関する変異体の取得に関しては、マイクロプレートでの培養とタギングライブラリーの作製に成功した。脂質を蓄積すると細胞の比重が変化し、マイクロプレートを用いた遠心では細胞が沈殿しにくくなる事が判明し、スクリーニング系の確立には至っていない。遠心分離方法の変更、または、遠心分離が必要ない脂質特異的な蛍光色素を利用することで、スクリーニング系の確立が可能と考えている。 (3)ポジティブセレクション系の確立にはいたっていないが、当初は困難が予想されたRNPを直接導入してゲノム編集する系の確立に成功した。直接導入系を利用する事で、ゲノム編集効率の向上が可能であり、目的遺伝子の変異体を取得しポジティブセレクションが可能になると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)CA3変異株に関しては、可及的にCO2濃度と光合成能力の関係を解析する。また、野生型のCA3遺伝子を変異株に導入し、CA3遺伝子の変異によって高濃度CO2耐性が生じたことを確認する。UDP-Glucose遺伝子破壊株については、ナンノクロロプシスの貯蔵多糖類であるクリソラミナリンが減少し、脂質合成が増加したことが期待される。細胞内成分を解析しこの仮説を検討する。また、BiCarbonate Transporter遺伝子群の破壊株をゲノム編集で構築する。 (2)マイクロプレートの遠心条件を検討し、蛍光プレートリーダーによる脂質合成変異株のスクリーニング系を確立し、脂質合成変異株を取得する。 (3)RNPの直接導入によるゲノム編集の効率化と、選抜薬剤濃度を高める事によるスポンテニアスな耐性出現の抑制を組み合わせ、ポジティブセレクション用遺伝子の破壊を試みる。
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