研究課題/領域番号 |
21K05392
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 真理子 京都大学, 化学研究所, 助教 (90736646)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ホスホイノシチド / 脂質シグナル / 細胞膜 / 花粉 / 細胞極性 / 脂質 / 植物 / 細胞形態形成 |
研究開始時の研究の概要 |
花粉は、発芽し、花粉管を伸長させることにより精細胞を雌しべの胚珠に送達する。花粉の発芽は、作物種の人工受粉の効率や、種子が可食部となる穀類では収量に直結する重要な過程であるが、花粉の発芽に関わる分子実体とその分子機構は不明な点が多い。本研究では、シロイヌナズナ変異体の解析からその関与が見えてきたホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸[PI(4,5)P2]に注目する。発芽におけるPI(4,5)P2の役割を明らかにし、発芽に関わる分子機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
花粉は発芽し花粉管を伸長することにより、花粉が内包する精細胞を卵細胞に送達する。このため花粉の発芽と伸長の過程は生殖に重要である。これに加え、この過程は種子が可食部となる穀類では収量に直結し、農産業における人工受粉の効率にも関わる。このことから、花粉の発芽と花粉管伸長の仕組みを理解することは、基礎および応用研究の観点から重要な課題といえる。花粉管の伸長と比べ、花粉の発芽に関わる分子機構は不明な点が多い。申請者は、ホスホイノシチドの一種であるホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(以下PI(4,5)P2と記す)の代謝に関わる酵素をコードする遺伝子群を欠失したシロイヌナズナでは、花粉の発芽が不全となることを発見した。本研究では、このシロイヌナズナ変異体を詳細に調べることにより、花粉の発芽に関わる分子機構の解明を目指す。 本年度は、花粉におけるPI(4,5)P2の細胞内局在を観察した。その結果、野生型の花粉では、花粉が発芽する直前にPI(4,5)P2プローブが発芽予定位置の細胞膜に局在することが分かった。一方、シロイヌナズナ変異体の花粉では、PI(4,5)P2プローブに由来する蛍光が細胞質全体に広がった。このことから、花粉が発芽する予定位置の細胞膜ではPI(4,5)P2が蓄積し、それがない変異体花粉では発芽が不全となることが明らかとなった。次に、PI(4,5)P2を過剰に発現する形質転換シロイヌナズナを作製し、発芽への影響を調べた。その結果、PI(4,5)P2を過剰に発現する花粉では野生型の花粉よりも発芽が促進されることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定どおり形質転換シロイヌナズナを作製し、観察を実施することができた。また、ここまでの研究成果を学術論文にまとめ、現在投稿中である。以上の結果から、予想以上に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はPI(4,5)P2がどのような分子メカニズムで花粉の発芽に関わるのかについて明らかにする。一点目は、PI(4,5)P2の下流で働くと考えられるタンパク質を同定する。すでに候補を3つ得ており、これらの細胞内局在を調べるためDNAコンストラクトの作製を始めている。これまで研究を進めていく中で蛍光観察が難しいことが何度かあったため、作製するDNAコンストラクトはそれぞれ3種類の異なるプロモーターを用いて準備する予定である。二点目は、花粉の発芽過程におけるPI(4,5)P2の局所的な蓄積はどのような仕組みで起こるのか、PI(4,5)P2代謝酵素の活性を制御する機構に着目して調べる。
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