研究課題/領域番号 |
21K05427
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
厚味 厳一 帝京大学, 薬学部, 教授 (70276608)
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研究分担者 |
石橋 賢一 帝京大学, 薬学部, 助教 (00707458)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ステアリン酸 / リン脂質 / 細胞内輸送 / Akt / GLUT4 / 脂肪酸 / 脂肪細胞 / 細胞膜 |
研究開始時の研究の概要 |
疫学調査の結果から、食事からどのような脂肪酸をどの程度摂取するのかといった、脂肪酸のバランスと疾患の発症リスクとの関係が明らかにされている。そこで、食事によって血液中、すなわち細胞の外側の脂肪酸のバランスが変化することで、細胞機能が変化し、生体への影響に結び付くと考えた。実際には、様々な疾患の鍵を握る脂肪細胞に着目し、食事に含まれる主な脂肪酸の一つであるステアリン酸が、細胞内での様々な物質の移動に影響を与えるのかを明らかにする。 この研究により、ステアリン酸の栄養素以外の存在意義の一端を明らかにできると考えており、ステアリン酸の量に配慮した食事の提案や目標量の設定につながることが予想できる。
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研究実績の概要 |
細胞外のステアリン酸の濃度変動が、細胞内の小胞輸送に与える影響を明らかにすることを目指してる。2022年度では、研究を進める上で鍵となる細胞内の小胞輸送の可視化に向けて検討した。AKTタンパク質に緑色蛍光タンパク質EGFPが付加されたタンパク質を発現するプラスミドベクターを作成し、細胞内のAKTタンパク質を可視化するツールを得た。また、遺伝子導入が困難である脂肪細胞に対して遺伝子導入条件を検討し、導入効率を高めることが出来た。 次に、ステアリン酸がどのように細胞内輸送に関わるのかを明らかにするために、細胞内のステアリン酸量とインスリン応答性との関係を調べた。その結果、細胞外のステアリン酸濃度が継続的に高まることで、細胞内のステアリン酸の含有量が高まるだけではなく他の脂肪酸の含有量にも変化が生じ、その変化とインスリン応答性低下とのタイミングが一致することが分かり、ステアリン酸以外の脂肪酸の細胞内における変動にも着目する必要があることが明らかになった。さらに、ステアリン酸と立体構造が類似しているが二重結合を分子内に有するバクセン酸を用いて検討したところ、細胞外のステアリン酸の濃度を高めた時とは異なり、インスリン応答性は低下しなかった。この結果からも、単に細胞内でステアリン酸のような脂肪酸が増えただけではインスリン応答性が低下しない、すなわち細胞内輸送が影響を受けないことを示唆しており、ステアリン酸以外の脂肪酸の含有量の変化も併せて総合的に解析を進めていく必要性が強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タンパク質を発現させるためのプラスミド作成が予定通りに進まずに、作成方法を再度検討して変更した。そのために、遺伝子組み換え申請を再度行ったために、時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内の小胞輸送の可視化を優先的に進める。AKTやGLUT4にEGFPが付加されたタンパク質を細胞に発現させることが可能となったため、試薬の培養液への添加や温度制御を行うことで細胞内輸送の速度を調節し、細胞外のステアリン酸の濃度が高まることで細胞内小胞輸送のどの段階が影響を受けているのかを明らかにする。 また、細胞分画法と組み合わせ、細胞外のステアリン酸の濃度が高まった際に、細胞内のどこの、どのリン脂質分子種の含有量が変化するのかを明らかにする。 さらに、含有量に変化が見られたリン脂質分子種の合成に関わる酵素の発現量を遺伝子組換え実験により調節し、細胞内小胞輸送とリン脂質分子種の含有量の変化との因果関係を示す。
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