研究課題/領域番号 |
21K05429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
福島 英登 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60466307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リコンビナント・パラミオシン / イカ筋肉由来パラミオシン / イカ肉加熱品 / 筋肉タンパク質の分解 / 筋原線維 / 動的粘弾性 / パラミオシン / 加熱ゲル化特性 / リコンビナントタンパク質 / アメリカオオアカイカ / アカイカ |
研究開始時の研究の概要 |
水産食品資源として重要なイカ類2種(アメリカオオアカイカ、アカイカ)を主対象に,無脊椎動物の可食部筋肉に特有に存在する繊維状タンパク質であるパラミオシンの加熱ゲル化特性を,リコンビナントタンパク質を調製するなどして調べる.大腸菌の発現系を用いて分子量の異なる複数のリコンビナント・パラミオシン(rPm)を調製し,これを任意の割合で添加した魚肉すり身のモデル系を構築し,加熱ゲル物性に及ぼすパラミオシンの役割を明らかにする.
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研究実績の概要 |
アカイカおよびアメリカオオアカイカ肉に対し0.5%の食塩を加え塩摺りして調製したイカ肉糊および両イカ肉から常法に従って調製し、終濃度2.5%のNaClで溶解した筋原線維を動的粘弾性測定の各分析に供した。肉糊ではアメリカオオアカイカに比べアカイカの方が弾性および粘性が高く、既報のアカイカ肉の高いゲル形成能を反映した。一方、両種の筋原線維は最も濃度の高い120mg/mlで明確な加熱ゲル化が認められ、その加熱ゲルはアメリカオオアカイカが弾性および粘性が高く、肉糊とは逆であった。その理由として、アメリカオオアカイカ肉に含まれる塩化アンモニウムが肉糊の加熱ゲル物性を低下させている可能性が考えられた。 両イカのリコンビナント・パラミオシン(rPm) 全長の3/4、1/2および1/4の分子量にあたるショートrPm (srPm)を複数の方法で発現および精製し、最終収量から最適な調製法を検討した。各発現用大腸菌をLB液体培地内にて37℃で対数増殖期に入るまで培養後、IPTGを終濃度50μMで添加し、20℃で96時間発現誘導した。菌体を回収後、超音波破砕により発現タンパク質を高イオン緩衝液に抽出した。その後、低イオン強度下で透析、析出した沈殿を遠心分離で回収し、高イオン強度下で再度透析し、srPmを精製した。各工程中の精製度合いは、SDS-PAGEで確認した。また、最終精製物のタンパク質量から収量を求めた。各srPmは分子量が小さくなるほど低イオン強度下で沈殿が析出し難く、これはフィラメント形成能の低下によるものと考えられた。また、srPmの高イオン緩衝液を弱アルカリ性(pH7.5)と弱酸性(pH6.8)として収量を比較したところ、弱酸性下で収量が増加した。こうした性状に留意することで以降の分析に必要なタンパク質量が調製可能であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ショート・リコンビナント・パラミオシン(srPm)の調製で通常サイズのrPmでは見られない性状を示し、分析に必要なタンパク質量が得られないことが判明した。これは、発現用の培地量を増やすこと、調製過程の緩衝液の組成を工夫することで解決することができたが、研究の進捗に遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、前年度に調製できるようになったアカイカおよびアメリカオオアカイカのrpmおよび全長の3/4、1/2、1/4にあたる各srPmを試料に用い、過年度に両種のイカ肉糊および筋原線維で行った動的粘弾性測定(温度分散分析:5-80℃、周波数分散分析:5℃および80℃、歪み分散分析:5℃および80℃)により、両種パラミオシンの加熱ゲル形成過程を明らかにすることで、肉糊ならびに筋原線維の加熱ゲル物性に及ぼす影響について考察する。また、両種パラミオシンの加熱ゲル形成能の違いがパラミオシンのどの領域に由来するかを分析する。
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