研究課題/領域番号 |
21K05431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
利國 信行 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40620977)
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研究分担者 |
飯田 安保 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (10337173)
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 非アルコール性脂肪肝炎 / コーヒー / 発癌予防 / エピジェネティクス / 肝癌 / マイクロRNA |
研究開始時の研究の概要 |
我が国では肝炎ウイルス以外が原因の肝癌(HCC)が増加しており、その原因のひとつとして非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の増加が指摘されている。現状ではNASH関連HCCの予防法は確立されていない。しかるに、これまで多くの疫学研究から嗜好品であるコーヒーの肝発癌抑制効果が示唆されている。本研究はNASH関連HCC動物モデルを用いてコーヒーによるHCC発生抑制効果を検証してそのメカニズムの一端を解明し、NASH関連HCCの予防法確立に寄与することを目的とする。本研究ではマイクロRNA(miRNA)に注目し、コーヒーの制癌メカニズムを分子レベルで実証する。
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研究実績の概要 |
5大癌のひとつである肝細胞癌(hepatocellular carcinoma, HCC)の基礎疾患として、非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)の割合が近年増加しており、NASHからHCCへの進展を抑制することは重要な課題である。近年の疫学研究ではコーヒーの習慣的飲用による肝発癌抑制効果が示されている。我々は、そのメカニズムの一端を解明し、NASHを基礎疾患とするHCCの予防としてコーヒー飲用の有用性を裏付けるエビデンス(証拠)を得ることを研究目的とした。そこで、高脂肪食によってNASHからHCCを発症するモデルマウスを用いてHCC発生のコーヒーによる抑制効果を確認し、エピジェネティックス(遺伝子発現を制御するメカニズム)の観点からそのメカニズムを探る計画を立てた。コーヒー摂取群と非摂取群に分けてHCCの発生個数を調べたところ、前者で個数が少ない傾向が見られた。次に、マウスの肝組織(癌部および非癌部)を採取し、蛋白質合成を最終的に決定するメッセンジャーRNA(mRNA)発現の制御にかかわるマイクロRNA(miRNA)の発現を網羅的に調べた。その結果、コーヒー摂取群の肝組織の非癌部において、血管新生の抑制に関与するmiRNAの発現増加が認められた。一般に肝発癌には血管新生を伴うため、血管新生の抑制は肝発癌の抑制につながると考えられる。我々の結果から、コーヒー飲用によって血管新生を抑制するmiRNAが発現し、HCCの発生が抑制される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
凍結保存していた標本のラベルが剥がれていたものがあり癌部と非癌部の区別がつかない標本が出てきたため実験が滞った。また、新型コロナ感染症の影響で必要資材が入手しづらい状況もあった。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的miRNA解析では、mmu-miR-505-3p、mmu-miR-10a-3pが非癌部に強く発現していた。データベースおよび文献検索から、これらのmiRNAは血管新生に抑制的に働くことが報告されており、ヒトのホモログも存在することが分かった。これらのmiRNAがコーヒーのHCC抑制効果にかかわる可能性があるため、 miRNAのノックダウンによって標的となるmRNAおよび合成される蛋白質の発現量に変化が生じるか、培養肝細胞を用いて検証を行う予定である。
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