研究課題/領域番号 |
21K05447
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
堀端 章 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (70258060)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | γ-アミノ酪酸 / 催芽処理 / 白米 / 突然変異 / 胚乳移行率 / トランスポゾン / デンプン / 糊化特性 / ガンマーアミノ酪酸(GABA) / 発芽玄米 / トランスポゾンタギング / 異所的・経時的動態 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、GABA(ガンマーアミノ酪酸)含有量の高い機能性白米の生産を最終目標として、「玄米水浸処理中のGABA新生能に関する遺伝的変異の探索」と「玄米水浸処理中における新生GABAの動態の解明」に取り組む。申請者が育成したイネ内在性トランスポゾン(mPing)の挿入突然変異系統(約2700系統)中には、玄米中のGABA含有量が既存の飯米品種よりも顕著に高い系統が存在した。また、玄米水浸処理中のGABA新生能にも系統間変異が認められた。本研究では、これらを用いて、玄米水浸処理中のGABA新生能に関わる遺伝子を探索する一方、玄米水浸中に合成されたGABAの異所的・時間的動態を解明する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、Enzyme Sensor Co. Ltd.から提供された新規のGABA定量キットを用いて、水稲品種ミルキークインと日本晴における、催芽処理の時間とGABA新生量ならびに白米層へのGABAの移行率に関して詳細な調査を行った。上記のキットは従来用いていた酵素法よりも簡便かつ高精度にGABA含量を計測することができた。催芽処理時間を5時間から20時間まで変化させて、GABAの新生量を調査した結果、両品種ともに、5時間までにGABAが顕著に増加するが、それ以降は催芽処理時間の延長にともなってGABAは漸増した。また、白米層への移行率は、10時間まで増加した。これらの結果から、高GABA含有白米の製造には、10時間程度の催芽処理が適切であると考えられた。一方、品種間の比較においては、ミルキークインの方が日本晴よりも白米層へのGABAの移行が早く進むことが示された。ミルキークインは胚乳細胞間に間隙を多く含む低アミロース品種である。この間隙を通じてGABAが効率よく移動すると考えられる。低アミロース品種は良食味でもあり、高GABA含有白米の製造には低アミロース品種の方がより適していると考えられた。 実験圃場では、1000系統以上の突然変異系統を栽培した。そのうちの75系統について、催芽処理におけるGABAの動態を調査できる量の玄米を得た。現在、これらの系統についてGABAの動態の調査を進めている。 これまでに得られた研究成果については、作物研究に投稿し掲載された。また、本年度得られた研究成果については、学会発表を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度において、懸案となっていた新規のGABAの定量法の導入に関して、同法が十分な定量性を示すことが確認され、実際に白米層へのGABAの浸透の様子を明らかにすることができた。また、研究を進めるために必要な突然変異系統の玄米を確保することができたため、今後も予定通りに研究を進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、突然変異系統におけるGABAの動態を調査する。供試系統中には、予備的試験においてGABA新生量が多く、かつ、白米層へのGABAの移行率が極めて高かった系統が含まれる。この予備的試験は、わずか25系統の突然変異系統を用いて行ったものであるが、本研究では、すでに75系統の調査を始めており、2023年度も供試系統を追加して進める予定である。このため、催芽処理によるGABAの新生ならびに白米層への移行率に関するさらに多様な突然変異を見出すことが期待される。
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