研究課題/領域番号 |
21K05453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
浅井 明 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (30500011)
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研究分担者 |
長尾 元嗣 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10468762)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | インスリン分泌 / 脂肪酸 / 膵β細胞 / 脂肪毒性 / 糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では脂肪酸が膵β細胞のインスリン分泌能に及ぼす影響についての栄養生理学的な検証を細胞(膵β細胞)、組織(膵島)、個体(動物)の各レベルで行う。特に低濃度の脂肪酸によるインスリン分泌量の変化は、顕性糖尿病や糖尿病末期に認められる「脂肪毒性」とは明らかに異なる「脂肪適応」と考えられることから、その発現機序や生理学的意義の解明を標的とする本研究は、2型糖尿病の前段階(境界域)から発症初期における脂肪酸の影響を正しく評価する上で重要な基盤的知見をもたらすものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、主に前年度より導入したヒト由来膵β細胞株(EndoC-βH1細胞)を用いた細胞培養系において、各種の脂肪酸添加に対する細胞応答を比較検討した。その結果、添加する脂肪酸の種類(鎖長や不飽和度)や培養時のグルコース濃度の違いによって、細胞の生存率やグルコース応答性インスリン分泌に大きな差異があることが確認され、この時、脂質代謝や糖代謝に関わる種々の遺伝子発現に変化が生じていることを認めた。また、EndoC-βH1細胞の培養条件について様々な検討を行い、膵島様の細胞塊(pseudo-islet)を作り出し、pseudo-isletを浮遊状態で培養する方法を新たに確立した。このEndoC-βH1細胞由来pseudo-isletの作成法は、既報のpseudo-islet作成法より簡便であり、比較的サイズの揃った細胞塊を長期間にわたって安定的に浮遊培養することが可能であった。また、グルコース応答性インスリン分泌能も通常の単層接着条件下での培養時よりも優れていることから、より生体の膵島に近いモデルとして有用と考えられ、このpseudo-isletにおいても添加する脂肪酸の種類によってグルコース応答性インスリン分泌等の細胞応答に大きな差異があることを認めた。これらの結果から、本年度の成果は、本研究の目的である「膵β細胞機能(インスリン分泌能)と脂肪毒性・脂肪適応との関係の解明」につながるin vitro実験ツールの確立という点で非常に重要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グルコース応答性インスリン分泌をはじめとする膵β細胞の細胞機能を比較検討するin vitro培養細胞モデル系を確立し、脂肪酸の種類による細胞応答の違いを見出すことができた。今後はその細胞応答の差異をもたらす作用機序の解明を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
β細胞株やマウス単離膵島を用いて、各種脂肪酸添加時のインスリン分泌をはじめとする細胞応答の変化をより詳細に検討し、脂肪毒性・脂肪適応を評価するとともに、細胞内脂質成分の解析を加えることによって、その表現系発現に寄与するkey moleculeを探索する。
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