研究課題/領域番号 |
21K05458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
染谷 明正 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90167479)
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研究分担者 |
長岡 功 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (60164399)
鈴木 香 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90631929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | グルコサミン / 細胞老化 / タンパク質凝集 / 脂肪滴 / DNA損傷 / p21 / アンチエイジング / 機能性表示食品 |
研究開始時の研究の概要 |
グルコサミンは関節機能の改善効果をもつ機能性食品素材として広く知られている。申請者らはこれまでグルコサミンの抗炎症作用および、その分子メカニズムを解析してきた。一方、その過程でアンチエイジング作用があることを示唆する結果が得られた。本研究では、グルコサミンの新たな機能としてのアンチエイジング効果およびそのメカニズムについて調べる。そのためにアンチエイジング作用を発揮するためのグルコサミンタターゲット分子を同定し、老化細胞ならびに老化モデル動物を用いて同定された分子の作用メカニズムを検証する。
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研究実績の概要 |
機能性表示食品素材であるグルコサミン(GlcN)は関節の動きをスムースにする作用がある。本申請課題ではGlcNの新たな機能として抗老化作用に着目し研究を進めている。令和4年度までの研究で、ヒト肺がん細胞株A549の老化誘導法ならびに老化検出法を確立した。そして、その過程で細胞の培養条件の違いによって、タンパク質凝集や細胞オルガネラの表現型が異なる老化細胞が誘導されることを発見した。令和5年度では、①細胞の老化におよぼすGlcNの影響と、②細胞の培養条件の違いで起こる表現型の違いについて検討した。 ①の細胞の老化におよぼすGlcNの影響に関して: 酸性βガラクトシダーゼ(SAβ-gal)活性を指標としてGlcNの影響を検討した。その結果、GlcNは細胞老化に対して明らかな影響を及ぼさなかった。今後、評価法ならびに細胞株を変更してGlcNの影響に関する実験を継続する予定である。 ②の細胞の培養条件の違いで起こる表現型の違いについて: 細胞培養条件によって、タンパク質凝集体が特異的に出現する老化細胞(令和4年度に報告)と、脂肪滴が多数観察される老化細胞にそれぞれ誘導されることが分かった。そして表現型が異なる老化細胞への誘導法を確立した。さらに、それぞれの老化細胞でトランスクリプトーム解析を行ったところ、タンパク質凝集体が多数観察される老化細胞と、脂肪滴が多数観察される老化細胞において、それぞれ特異的に上昇するmRNAが多数確認された。また質量分析法にてタンパク質発現量を調べると、それぞれの老化細胞特異的に発現が上昇しているタンパク質が複数同定された。現在、これらの結果から、表現型が異なる老化細胞に誘導されるメカニズムを推測し、その解明を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
老化細胞と死細胞を分離するために2週間程度の継続培養が必要なため、研究遂行に時間を要している。またGlcNの細胞老化におよぼす影響を、一般的な評価法(酸性βガラクトシダーゼ; SAβ-gal活性)を用いて検討したが、はっきりした結果が得られなかった。そこで別の評価法ならびに細胞株を用いてGlcNの影響を調べる準備を進めている。そのため遅れが生じている。一方、GlcNの細胞老化への影響とともに、同一細胞から表現型が異なる老化細胞に誘導するメカニズムも調べている。このようにGlcNの老化に及ぼす影響について、細胞が老化するためのメカニズムに関する基礎的研究ならびに新たな評価法の確立を含めて行っているため、研究全体に時間を要し遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
GlcNの細胞老化に及ぼす影響について、継続して研究を進める。また、同一細胞株から表現型が異なる2種の老化細胞に誘導されるメカニズムの検索を行う。令和5年度では老化した細胞のトランスクリプトーム解析およびプロテオーム解析を行ったが、今後は非老化細胞から細胞が老化するまで、時間経過ごとのトランスクリプトーム解析およびプロテオーム解析を行い、細胞が老化するまでの詳細な変化を調べる。さらに老化進行中のゲノム状態を調べるためATAC-シーケンスも行う予定である。これらの結果をもとに、老化細胞の新たな指標の開発し、GlcNの細胞老化への影響の評価に応用したいと考えている。
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